「存在アピールしファンを増やす」
大賞受賞のヒント
【事例報告】
◆きっかけは合併デメリット
平成15年に合併して誕生したJAめぐみのは神奈川県の面積に匹敵するほどの広域農協。“広すぎてどういうJAなのか組合員に届かない”というデメリットによって広報活動に力を入れようと考えた。
基本スタンスは「私達が思っているほど、JAは知られていない」。地域住民や組合員にいかにJAの存在を知ってもらうかを念頭におき、5人体制で活動を行っている。
◆JAファンを増やす
JAについて知らない世代、これからつないでいってくれる次世代層を知り、JAの認知を広めるために農家以外に向けた発信を積極的に行っている。
メディア発行もターゲット別を意識しており、毎月1回手配りで届けている広報誌は中高年、年7回のコミュニティ誌は若・中年層、ホームページは若年層といった具合だ。
次世代をターゲットにした活動としては学校などでの食農教育。大豆を配り、育て、豆腐作りをする―という一環したプランの「まめなかな運動」を中心に、親子農業体験に力を入れている。夏休みを利用した「わんぱく農業体験」のベースである桜ヶ丘支店は団地の中にあり、正組合員は1件だけだというが、体験活動を通して子どもたちの家庭とJAの関わりができている。団地内で毎年小学5・6年生の恒例行事になりつつあるという。
その他にファーマーズマーケット「とれったひろば」では毎月多くのイベントを開いて地域の人へJAの存在感をアピールしている。
◆マスコミと交流を図る
「とれったひろば」では、チラシは年1回しか配布しない代わりに東海ラジオと提携してイベント情報などをラジオで流している。ラジオの効果は大きく、ラジオ取材からテレビ取材へと広がり、大きな宣伝効果が得られているという。
◆多くの人の声を取り入れる
同JAは地域の人の声に耳を傾けることも重視している。広報誌では毎回プレゼント企画を行い、応募の際に意見を記入してもらっている。また、「とれったひろば」には常時意見箱を設置。応募ハガキや意見箱に寄せられる苦情は全職員に開示し、検討会を行うという徹底ぶり。
また毎号の広報誌で表紙を飾るのは組合員の作品だ。
(写真)
事例報告するJAめぐみの総合企画部の成瀬秀博部長
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優れた広報活動のJAが集合
今月4日にJA全中が発表した平成21年度広報活動優良JAの表彰式が2月12日、東京・大手町のJAビルで行われた。
(写真)平成21年度広報活動優良JAと審査員ら
表彰式には大賞受賞のJAめぐみのをはじめ、優良JAに選ばれた各4部門7JAの組合長らが出席した。
JA全中の伊藤澄一常務は「広報大賞を受賞したJAめぐみのの活動内容を聞いて『体験』することの重要性を感じた。『百聞は一見にしかず』というように、体験してもらうことでJAを具体的に知ってもらえることができる。JAには地域の人たちに参加してもらえる材料を多分野で持っている。めぐみのの事例を聞いてこれから何をやっていくべきなのか感覚がわかった」とあいさつした。
審査委員長の上野征洋氏(静岡文化芸術大学副学長)はJAめぐみのを大賞に選んだ理由について「バランスよく幅広い世代に向けた戦略的な広報活動」とし、現地審査で訪れた際に感じたことは「広い面積をきめ細かく網羅し、質の高い広報を行っている」と評価。「JAめぐみのを参考にし、それを上回るような活動をその他のJAでも行っていってほしい」と期待を述べた。
大賞受賞を受け、JAめぐみのの岡田忠敏組合長は「広報は小学生から高齢者までが同じ目線で見られるようにしなければならない。意見として寄せられる3分の2の批判も謙虚に受け止めて現場に下ろし、組合員のためになる広報作りを進めていきたい。JAファン作りの最大の武器としてJAの発展に貢献していきたい」と意気込みを語った。
(写真)
広報大賞を受賞したJAめぐみの岡田忠敏組合長(右)・JA全中 伊藤澄一常務(左)