日本酪農乳業協会(Jミルク)の22年度国産生乳需要予測数量は746万8000tで21年度生乳生産量に対して95.5%の水準となっており、単年度の需給均衡を図るとすれば大幅な減産が避けられない。
しかし、中央酪農会議では、中期的な生乳需要には流動的な要素が多く、「3年程度の中期的な需給動向」を見据えた弾力的な対策を実施することにした。
具体的には[1]Jミルクの国産生乳需要予測数量に基づく「販売基準数量」675万9000t(チーズ向けは除く)のほかに、[2]中期的に想定される需給動向をふまえた「特別調整乳数量」と[3]チーズ向けなど新たに生乳需要を創出することを前提とした「選択的拡大生産数量」を設定した。[2]と[3]の数量上限は73万8000t。これを合わせた計画生産数量目標を750万tとして大幅な減産計画を避けた。
◆地域の生産事情に配慮
「特別調整乳数量」枠は希望する指定団体に配分するが、生乳需給が緩和し販売不可能乳が発生したり発生が見込まれる場合、中央酪農会議は理事会で過剰回避対策を決める。
対策の内容は、指定団体が一定特別枠の配分を受けた数量を返還するほか、▽全乳哺育などによる緊急的な生乳の出荷抑制、▽市場からの乳製品の買い上げ、在庫保管、一般国産乳製品以外の市場(チーズ、輸入調製品、飼料用粉乳、輸出製品市場)への販売処理などを行う。
一方、「選択的拡大生産数量」枠は、チーズ、全乳哺育向けや、国内生乳市場と区分した輸入調製品との置き換えなどが見込めるとして新たに生乳需要を創出しようという数量だ。生産者の努力によって生乳生産を確保していくものだが、乳業をはじめ関連食品産業の取り組みも必要になる。
あらかじめ計画を策定・提出し月ごとに実績を報告できることが要件となっている。
中央酪農会議によるとこうした生産枠を設定したのは、「乳価水準の安定を期待する地域や経営」と「生乳生産量の確保を期待する地域や経営」が共存していることが背景にあり、「生産への思いが違う」ことをふまえたという。
牛乳の消費減退が続くことが見込まれるなか、中央酪農会議は消費拡大をめざす取り組むが引き続き重要であるとして、22年度から「牛乳消費喚起対策事業」(仮称)を実施する方針だ。