生産現場への普及が急がれる開発技術として今年は(1)低炭素農業の実現(2)付加価値の高い農産物生産(3)飼料自給率の向上(4)環境に優しい病害虫防除―の技術を選定した。
(1)は施設園芸作物の省エネルギー対策で、慣行と比べて石油燃料の使用量を30%以上削減できるし、使用量の多い作物はヒートポンプの導入でCО2排出量を、重油暖房機に比べ年間40t以上削減できる効果がある。
栽培方法と被覆資材と加温技術などを組み合わせた総合的省エネ技術だ。
(2)は「ナシの樹体ジョイント技術」で、複数の樹の主枝部を接ぎ木で連結し、直線状の集合樹として仕立てる技術だ。早く成園化できるし、作業の移動が直線的になって栽培管理が省力化できる。
(2)の2つ目は、加工後の品質、加工しやすさ、食味などに優れた大麦やクリ、サツマイモ、ブドウの新品種を開発したこと。
(3)は安価な飼料用米破砕装置とロールベール運搬装置を開発。また飼料用米栽培マニュアルを公表し、これらを組み合わせて作業が効率化できる。
(4)はイチゴの重要病害であるうどんこ病の発生を抑えるため、紫外線を照射し、イチゴ自身の免疫機能を高める病害防除システムを開発した。
(4)の2つ目はレタスの重要病害であるレタスビッグベイン病に対して、従来の抵抗性品種と比べ、より強い抵抗性を持つ品種を開発した。