わが国の景気は09年春以降、アジア振興国向けの輸出増やエコカー減税・購入補助、家電エコポイント制度など消費刺激政策によって、持ち直し基調にあると農中総研ではみるが、世界同時不況によって落ち込んだ需要水準は回復できていないという。
先行きの見込みは、中国などの景気回復で輸出増は継続、10年度後半には欧米の回復力も高まり、国内では子ども手当などによって景気回復基調は続くと予想。ただし、需給バランスは大幅に崩れた状態が続き、11年度までデフレは解消せず価格下落が続くと見る。 09年度の実質GDP成長率は前回予測(09年12月)より0.6%上方修正したものの、▲2.3%と2年続きのマイナス成長を予測した。
10年度は一連の消費刺激策の効果は息切れし子ども手当の支給開始が下支え役を果たすことも期待できるが、大きく崩れた需給バランスは簡単には均衡せず、設備投資や雇用の回復テンポが加速することは困難だとしている。ただし、年度を通じての実質GDP成長率は2.0%で3年ぶりのプラス成長を予測。
11年度も世界経済の拡大が進行し、潜在成長率を超える成長を予測。しかし、デフレの長引きで企業の体力は完全には戻らないことから、企業から家計への波及はとぼしいとする。そのうえで実質GDP成長率は2.2%と予測した。