会議に出席した山田正彦農林水産副大臣は「2020年までにCO2を25%削減するという思い切った政策に農林水産分野でどれだけ貢献、取り組んでいけるかが大きな課題。温暖化対策はこれからの成長分野になりうる」とあいさつ。会議では各分野がCO2削減に向けて取り組む6対策の状況を報告した。
▽「施設園芸・農業機械の温室効果ガス排出削減対策」については、06年度から施設園芸や農業用で省エネ機器の導入が進み、08年のCO2排出削減量は10.0(万t-CO2)見込みを上回る15.8(万t-CO2)実績を達成。10年度以降も省エネ設備のリースやバイオディーゼル燃料農機利用の支援、耕作放棄地を利用したナタネ栽培などを行っていくとしている。
▽「環境保全型農業の推進による施肥量の適正化・低減」への取り組みでは、エコファーマーが増加傾向。今後もたい肥施用と適正施肥の推進、支援の強化を行っていくとしている。
▽「バイオマスの利活用の推進(バイオマスタウン構築)」では、現時点でバイオマスタウンの数は237地区にのぼっており、10年度までに300地区を達成するという当初の目標に近付いている。委員からは「事後の調査が必要なのでは」との意見も。今後は閣議決定を予定している「バイオマス活用推進基本計画」の中にしっかりした内容を盛り込み、肉付けをしていきたいとしている。
▽「漁船の省エネルギー対策」では、燃料高騰による漁獲控えや隻数の減少もやや影響しているが、魚灯にLEDを使用したり、低速航行などの取り組みにより08年のCO2排出量は1990年から約60%削減できたと報告。
▽「自主行動計画の推進・強化」では、自主行動計画を策定している食品産業団体の調査内容を報告。2008年度実績で目標を達成した業種は、前年度の3業種から9業種に増加。省エネ設備の導入や燃料転換などが進んだためとしている。
▽「森林吸収源対策」では、間伐推進のための予算措置や「美しい森林づくり推進国民運動」への取り組みなどを実施。今後も間伐材の利用と年間55万ha以上の間伐促進で森林の整備に取り組んでいくとしている。
とりまとめでは、現行の予算や制度などの制約を無視すれば、農林水産分野での温室効果ガス排出量は25%目標のうち7.9%をカバーできると試算。今後は委員の意見や中間目標の達成度をふまえた施策を検討していくとした。