◆3年後30万ha普及を目標に
会見でJA全農の神出元一常務は、本剤の特長を「最近の難防除雑草問題を解決する生産者メリット、水稲に対する高い安全性の確認による消費者メリット、さらに、AVHの普及集約化による生産コスト・流通コストの削減メリット」の3点とし、JAグループを挙げた普及推進を強調。
「ドイツで生まれ、日本で育った除草成分です」と話すのは、バイエル クロップサイエンス社のギャビン マーチャント社長。
JA全農の山崎周二肥料農薬部長は「2000年にアベンティス(現バイエル)で選抜され、03年からバイエル クロップサイエンス社、北興化学工業とJA全農で共同開発してきた期待の除草成分」であり、2013年には30万haを目標にすると今後の普及展開の方向性を語った。
本剤は10年2月18日付けの農薬登録。登録内容は「AVH-301」単剤(商品名:マイティーワン)と「AVH-301」を含む水稲除草剤11剤の認可。さらに、同成分の合理的な配合による新規剤開発も進められていく。
◆イボクサ、クサネムなどの特殊雑草にも高い効果
「AVH-301」は、現在発生している抵抗性雑草のほとんど全てに優れた防除効果を発揮し、かつ既存剤では防除が難しいイボクサ、クサネムなどの特殊雑草に対しても優れた防除効果を示す。
本剤は、ヒエ剤との2成分で、ほとんどの水田雑草を防除でき、今後の水稲除草剤の流れを変えていく可能性を秘めた画期的な除草剤と位置づけられている。
特別栽培米、減農薬栽培米の生産にも新たな推進力を与えるものとの期待が高い。
「農家のニーズにマッチした農薬の提案をしていきたい」という北興化学工業(株)の安部素生専務。同社が、これまで培ってきた豊富な経験を生かしていく。
本剤は3社を基軸に本年、各地で広く展示ほ試験を実施するなか、AVH剤の普及性を確認するとともに、同剤の認知度を高め、2011年度から本格的な販売につなげていく。
「本剤の兼ね備えている優れた特長から見ると、(3年後の目標面積は)弱気とも思えるが、市場の実情を捉えた数値。真実は、抵抗性雑草対策などに新たな提案を行ったことが高く評価できるのではないか」(業界担当者)と見ている。
※山崎周二肥料農薬部長の「崎」の字は、正式には旧字体です。