総会で所信を述べたJA全中の茂木守会長は、重要課題と今後の対応について第25回大会決議が掲げた3本柱の考えを改めて説明した。
「消費者との連携による農業の復権」については「農業生産額と農業所得を増大させ、農業農村を元気にしていくことが必要。国民合意による食料安全保障の実現をめざし、全国津々浦々までさらに国民運動を広げていくべき。そのため地域農業の維持・発展の観点から、多様な担い手づくりの対応を進めていく」。また「JA地域農業戦略を再構築し、生産者の所得増大をめざした計画生産の徹底、地域作物の進行などに取り組んでいきたい」。WTO農業交渉ついては「将来的課題の指摘を各国農業団体と連携して粘り強く主張していきたい」と話した。
2つめの「JAの総合性発揮による地域の再生」は「地域の多様な取り組みにJAの総合性を活かした支援をし、地域社会の持続的な発展に貢献していく必要がある。また地域の女性や青年農業者との結びつきを強化し、組合員組織を活性化していくことが必要」だとした。
3つめは「協同を支えるJA経営の変革」。「今後JAが農業振興や地域貢献への取り組みを続けていくには経営の健全性を維持・強化することが大事」としたうえで、人材育成と活力ある職場づくりに取り組むことを強調。「国連では2011年を協同組合年と定めた。苦しい時代にこそ役職員一人ひとりが協同の価値に確信を持って取り組みに邁進すべき」と述べた。
また昨年10月に郵政改革が閣議決定されたことを受け、「郵政側が主張する預入限度額の引き上げや撤廃などは農業振興のために健全性と一体性に努めるJA経営を脅かすことになる。断じて認めることはできない」と強く主張した。
大会最後には特別決議(別掲参照)が満場一致で採択された。
【特別決議事項】
1.農業生産額と農業所得の増大、食料増産と自給率向上を目指した新たな食料・農業・農村基本計画の策定と実践、現場実態を踏まえた戸別所得補償制度の本格実施に向け、徹底した取り組みを行う。
2.WTO・EPA交渉においては、食料輸入国の懸念に十分配慮し、多様な農業の共存を可能とする農産物貿易ルールが確立されるよう、国民理解促進と海外農業団体との連携に全力を挙げて取り組む。
3.農地利用長期ビジョンの策定・実践により、農地の有効活用と面的集積を進めて農業生産基盤を維持・確保するとともに、出向く体制の構築や農業経営管理支援など、多様な担い手への支援強化に取り組む。
4.「食と農」や「助けあい」などJAくらしの活動を軸に地域の再生を目指して、関係組織と『新たな協同』の輸を広げ、組織の活性化と結集力強化
に取り組む。
5.高水準なJAづくりと、JAの健全経営を確立するため、中央会の万全な指導機能の確保に向けて、総合審議会の答申を踏まえ、中央会体制の整備に不退転の決意で取り組む。