これまでわが国には「保険法」という法律は存在しなかった。明治32年に制定された商法のなかに保険契約に関する規定が置かれていたが、約100年間も実質的な改正は行われてこなかった。そこで、社会経済情勢の変化に対応して、保険契約に関するルールが全面的に見直され、商法から独立した新しい法律として「保険法」が制定され、この4月1日から施行されることになった。
保険法の施行にあたっては、保険と同等の内容を有し、数多くの国民が加入している現状を踏まえて、JA共済などの共済事業にも適用されることになった(表1参照)。
商法から保険法となったことによる主な改正点は、▽商法の保険契約に関する規定では対象外とされてきた共済契約にも適用範囲を拡大したこと。
利用者保護の強化では、▽契約締結時の告知についてのルールを整備、▽共済金・保険金の支払時期についてのルールを新設、▽規定の表現の現代化などがあげられる。
■共済金支払いの期限を明確化
JA共済連ではJA共済に影響を与える保険法の主な規定である▽共済金の支払い時期についての規定の新設、▽推進者に告知妨害があった場合、契約の解除ができない旨の規定の新設、▽重複契約の場合の支払方式を独立責任額全額方式に変更、▽共済証書の記載事項についての規定変更、▽異動(解除用件、通知義務要件等)についての規定の変更、などに対応し共済規程や共済約款を変更する。
と同時に、保険法制定の趣旨・背景を踏まえて「正確さ、理解しやすさ、迅速」をキーワードに、利用者保護の充実に積極的に取り組み、加入から共済金支払いまでの一連の組合員・利用者対応のあり方を再点検していく。
保険法適用による変更の詳細を紹介することはできないが、利用者保護の観点からもっとも大きな変更点をあげれば「共済金の支払期限の明確化」だといえる。これまでは、約款に調査・確認のために特に日時を要する場合を除き、請求書類が組合に到達した日以後「1か月」以内と定められていたが、4月1日以降は、表2のように共済金の支払いにあたって調査・確認の有無やその内容によっては「完備された請求書類がJAに到達した日の翌日から「8日」(土日・祝日を含まず)と短縮される場合もある。支払いが遅延すると年利5%の延滞利息を払わなければならない。
JAからJA共済連まですべての段階で、より的確で迅速な処理が求められるということのようだ。
なお詳細は、JA共済のホームページで。