◆県別にタイプ分け
総合審議会は▽中央会の将来方向のあり方、▽中央会改革に対応した賦課金等のあり方、▽組織整備の進展に対応した県域段階・全国域段階の事業間調整・連携強化のあり方を答申した。
答申では中央会の使命は「高水準の事業機能」を備え「自己責任経営を確立したJA」の構築と発展にあるとした。
高水準JAとは、基本的にはJA合併のもとJA改革に取り組んでいるJAをさす。中央会にはこうしたJAの負託に応える専門的で高度な機能発揮が求められ、そのために十分な要員や賦課金を確保する必要があると答申では指摘している。
ただ、今回の検討で現在の県内JA数や将来方向、さらに中央会の体制が県によって異なることが明らかになったことから、各県をタイプ分けして以下のように取り組むべき事項を整理した。
【JA数が多く中央会体制が大きい県】
合併構想実現後もJA数が多い場合、JAに移管できる機能も県域に集約したほうが効率的だとして、答申ではこうした県では現行体制を維持してフル機能を発揮すべきとした。
【JA数が多く中央会体制が小さい県】
答申では、こうした県では中央会の機能発揮が難しくなっている課題があるほか、小規模JAも存在することが多いことから、▽高水準JAの構築をめざし期限を明示した合併構想の実現や現行構想の見直しの促進、▽中央会職員の年齢構成の平準化と機能水準の維持を考慮した体制と賦課金の確保、について早急にJAとの協議のもとに取り組む必要があるとしている。
これらのほか、今後の方向として「JA数が少なく中央会体制が大きい県」も選択肢ととして示した。これまでは組織・事業2段をめざして合併を進め、それにともなって中央会など県域組織の縮小を行ってきたが、答申では県域組織にJAの一部機能を集約することで県全体で高水準機能を発揮できるとして、県域組織の充実も必要だとした。
(写真)茂木全中会長(右)に答申を手渡す永田正利議長
◆コア機能は中央会が発揮
一方、高水準JAづくりが課題だとしても、県域を代表する機能などは大規模JAでも担うことができないことから、中央会には必ず発揮しなければならないコア機能を求めた。
具体的には(1)代表機関としての機能(農政など代表調整機能)、(2)外部性が必要な機能(監査、指導など)、(3)専門性・効率性の観点で必要な機能(教育など)と定義した。
県をタイプ分けすれば「1県1JA」も実現しており、また今後それをめざすとしている県もあるが、こうした県でも答申では「コア機能を発揮する中央会を存置することが基本」としている。
法的には県中央会を解散することも可能だが、その場合でも代表調整機能を適切に発揮する体制整備、監査、経営指導などの全中への移管などが必要と指摘した。
また、コア機能のなかでも教育事業についてはブロックによる実施なども視野に入れて取り組む必要があることも指摘した。
賦課金等のあり方については、統合連合会の負担分も含めて各県で必要な賦課金を確保、また、要員についても必要最低限のプロパー職員の確保を前提としJA等からの出向も進める必要があるとした。
答申を受けて全中は22年度に新たな会議を設置して改革に取り組む。