12年めを迎えるフォーラムは、3月末に決定される「新たな食料・農業・農村基本計画の理解と推進」を年間を通した基本テーマとし国民理解促進に向けた取り組みを進める。 これを基本に「農業・農村の持続的発展と担い手の育成」、「WTO・EPA交渉」、「環境問題」などを個別テーマとして学習を深める。また、地方フォーラムとの交流、現地検討会の開催を行うほか、学習活動をもとに提言活動なども検討する。
この日の全体会では活動報告としてJA栃木中央会の生澤良一農政広報部長が同県の地産地消運動の取り組みを報告。「とちぎ地産地消県民運動実行委員会」を平成16年に立ち上げ、生産者と消費者の相互理解、地域農産物の利用拡大、郷土料理の伝承などに取り組んできた。
地域特産物を使った事例を「夢大賞」として表彰する事業や、学校給食で使う地元農産物への助成、食と農のふれあいフェアの開催などを展開。JAグループのほか、消費者、教育関係、流通業界、観光協会など合計で66団体で構成されている。 そのほか会員からの活動報告もあった。
◆若者はもっと体を使った仕事を―養老代表が講演
全体会では養老孟司代表が「国民から理解される第一次産業とは」と題して記念講演をした。
養老代表は「今のままでは国民は第一次産業が理解できない」と強調、その理由は生活のなかで農業など第一次産業の体験をほとんどしなくなったこと。体を使って自分で作業する体験は人間形成のベースになるものとし、「思うようにならない自然を相手にしている第一次産業は年季がいる、ということになる。身体的なベースが生きていくうえでは欠かせないと分かった人が今、農業に戻ってきているのでは」とも話した。
同時に医学の世界では病気の治療よりも予防医学が重要だが、多くの人はその価値を評価しないといい「第一次産業も同じではないか」。インフラとして社会を支え自然、環境そのものと関わる第一次産業の価値が評価されるためにも「若い人はもっと体を使った仕事を」と強調した。
(写真)養老孟司代表