これまでの共同購入事業は、「エーコープマーク品がよい」「産地・生産者が見える」「添加物が少ない」など商品への評価は高いが、「注文してから届くまで時間がかかる」「商品アイテムが少ない」などの不満が組合員にはあった。また、事業としてみた場合にJAの収支は厳しいという問題もある。
こうした組合員の声を踏まえ、物流・品揃えの改善によって組合員・利用者の利便性と満足度の向上をはかる。
JAグループ内の重複機能を整理し、業務を合理化、効率化することでJAの収支改善をはかるために、Webを活用した新事業方式「JAくらしの宅配便」が開発された。
表のように、インターネットの活用と、全国広域物流拠点から宅配便で配送することで、「品揃えが豊富」になり、「受注後数日以内に直送」できるようになるなど、組合員・利用者の満足度を向上させることができる。JAとの機能分担の見直しなどによりJAグループ全体の効率化とコスト削減が可能になったとJA全農生活部は説明する。
この4月からは、岡山・島根・山口県の5JA導入。22年度中には7県20JAで会員数13万人・取扱個数50万個、20億円の売上高を予定している。そして稼動4年目の25年度には、36県300JA、140万会員で200億円を計画している。
1日の可動式は、東京・大手町のJAビルとこの日から運用を開始する岡山・島根・山口の各会場をつないだテレビ会議方式で稼動式が行われた。
秋田俊毅全農常務は、「JAくらしの宅配便」は▽地域でより豊かに快適に暮らすための支援▽高齢者に元気に生活してもらう提案・支援▽環境保全に一歩進んだ取り組みという今日的な意義があり、生活関連事業は「今日を起点にこうした考え方に変えていかなければならない」と挨拶した。
従来方式との比較 | ||
項目 | 「JAくらしの宅配便」 | 従来型共同購入 |
媒体 | インターネット+カタログ | チラシ(回覧式主流) |
発行頻度 | インターネットは常時 | 年2〜4回 |
カタログは年1回チラシ年4回 | ||
受注期間 | 365日 24時間 常時 | チラシ有効期間のみ |
注文方法 | インターネット・携帯+従来式 | チラシへの記入 |
取扱品目数 | 約1000アイテム | 100〜200アイテム |
届け日数 | 2〜3日(配送日指定も可) | 2週間〜1カ月 |
配送方法 | 宅配便+現行方式 | 女性部・JA職員が届ける |
組合員決済 | 代金引換・クレジットカード +従来方式 |
口座引落・現金 |
JA決済 | データ連動処理 | 紙伝票中心 |