【小麦】
22年度の総需要量(輸入小麦との合計)は、21年度見込みを3%上回る569万tと見通した。年間消費量が1人当たり概ね31〜33kgで推移しているため、過去5年間の平均需要量を総需要量とした。
また22年国内産の供給量は83万t、同年度の流通量は73万tを見通した。
外国産の需要量は総需要量から国産麦の流通量を差し引いた496万tで、輸入量も同量となる。
22年度の備蓄目標は前年に引き続き外国産需要量の2・3か月分(95万t)とする。
現在、政府が備蓄している1・8か月分(74万t)は今年10月から民間の備蓄に移行するため、今年度は政府の期末在庫がゼロとなり、民間が95万tとなる。
【大麦、はだか麦】
1人当たりの年間消費量が横ばいであるため小麦と同じく、ここ5年間の平均需要量である38万tを総需要量と見通した。
22年国内産の供給量と、同年度の流通量はどちらも11万tと見通した。
外国産の需要量は総需要量から国産の流通量を差し引いた27万tで輸入量も同量となる。
◆作付増えても単収は減る 麦需給の動向
「需給見通し」では「参考資料」として麦の需給に関する動向を紹介している。
これによると20年度の自給率はカロリーベースで小麦が14%、大麦とはだか麦が11%、生産額ベースでは小麦が8%となっている。
麦全体としては需要量の9割を外国産の輸入でまかなっている。
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一方、小麦・トウモロコシ・大豆の国際価格は20年にピークを迎え、今は世界的な不況による穀物需要の減退懸念などから大幅に低下し、ほぼ横ばいとなっている。
しかし高騰し始めた18年秋ごろの水準に比べると依然として高い水準にある。
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国内の小麦の二次加工製品は▽めん類がゆで時間を必要とする乾めんを中心に生産は減少傾向▽パンも13年以降は微減傾向▽ビスケットは18年以降、輸入品の減少や低価格品の需要増などから生産が増えている。
焼酎、みそ、押麦向けの精麦は20年以降、焼酎用の減少などから生産が減っている。
国内産小麦は北海道の畑作地帯で多収栽培技術が確立され、都府県でもコメの転作作物として作付面積が拡大しているが、天候不順のため21年の生産量は前年比23%の減少となった。
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銘柄別作付け動向を見ると、日本めん用では「農林61号」から新品種の「イワイノダイチ」「きぬの波」「あやひかり」などへと徐々に転換している。
パン・中華めん用では北海道で「キタノカオリ」、都府県で「ニシノカオリ」「ミナミノカオリなどの作付けが広がっている。
大麦とはだか麦ではビール大麦の需要が減少しているものの主食用や焼酎用は堅調で作付面積は回復傾向にある。しかし生産量は天候不順で減少した。
銘柄別では二条大麦で「あまぎ二条」から良質な「スカイゴールデン」や焼酎専用品種である「はるしずく」などへの転換が進んでいる。
六条大麦では押麦用で「ハイバースノウ」、麦茶用で「さやかぜ」など、はだか麦では「マンネンボシ」の作付けが増えている。