国民合意の農政確立を目的とした毎年の調査で今回は11回目の第2次結果発表となる。今回は3点について質問した。
1問目の「国の農政に期待する政策課題」では、市町村とJAのトップ層が第1に望む政策課題として「農業所得確保対策」を挙げた。その回答率はJAトップ層の約68%、市町村同の約65%で、それぞれ約3分の2に及んでいる。
農産物価格が下がり続ける中で農業者の意欲を支えるには何よりも農業所得の確保であり、国は率先してこれに取り組むべきだという切実な要望がここに表れていると、センターは受け止めている。 地域生協トップは、「食料自給率維持・向上対策」を1番に挙げたが(約45%)、2番目の「所得確保」(約41%)との差はわずかであり、消費者サイドにも所得確保への支持があると思われる。
JAは「農業の多面的機能に関する消費者理解の促進対策」を2番目に要望。これは3番目の「国産農産物の購入を促す広報活動の推進策」と共に消費者関連の項目であり、所得確保のためには消費者の理解が必要不可欠との強い意向を示しているとした。
◆進む地産地消活動 農地制度改正への評価も聞く
2問目の「国民合意農政の確立に向けた取り組み状況」については「多様な地産地消活動」が最も進んでおり、全体の約78%。「食農教育」がこれに続いて国民合意農政を確立するための足がかりが地産地消と食農教育にあることを確認できたとした。
3問目の「農地制度改正に対する評価」については▽『農地の適正かつ効率的利用の確保』が明記されたこと▽下限面積引き下げ促進で新規就農者などの農地取得が容易になったことが評価された。
最も評価されなかった点は「農地が適正に利用されないのは農業の収益性が低いからであって、そこへの対策が欠けていること」であり、その指摘率は市町村とJAで約4分の3(市町村約76%、JA74%)にも達し、地域生協ではさらに高く8割近くに及んだ。
農外企業の農業参入が緩和された点に関しては「一般株式会社の参入が容易になったこと」を評価したのは市町村約21%、JA8%にとどまった。
一方、「新規参入企業と既存の農家などとのあつれきが生じかねない」との懸念も強く示された。
同調査は3点の質問について、それぞれいくつかの選択肢を示し、2問目以外は複数回答方式とした。