◆主業農家は24万戸
販売農家戸数は現状のままでは111万戸程度まで減少する見込みだが、戸別所得補償制度の導入によって意欲ある農業者が営農継続ができ、また、同居後継者がいる農家の離農率は下がるなどの理由から121万戸程度にとどまると見込んだ。
主業農家も離農が抑制され21年の35万戸が32年には24万戸程度になると見込んでいる。
主業農家の1戸あたりの経営面積は、21年の5.1haから32年には7.7haになると見込む。
規模拡大のテンポは12【?】17年の年率2%が32年までは同4%になると推計。
これによって主業農家の経営面積は175万haから185万haまで拡大、農地面積の4割を占めるという。販売農家全体で農地確保目標面積461万haのうち7割の316万ha程度を占めると見込んでいる。
◆2万超の集落営農
集落営農組織は、中山間地域を中心に組織化が進み、21年の1万3400組織が32年には2万3000程度になると見込んだ。農作業受託を含む経営面積は49万haから83万haに拡大し農地面積の2割を担うと想定している。
組織形態もリーダー的な担い手に農地を集約させていくタイプや、6次産業化で経営発展させるタイプ、地域農業と農地の維持を優先するタイプなどさまざまな組織が地域の守り手として活動するとしている。
法人については、集落営農から法人化する組織を除いても32年には1万8000程度になると見込んでいる。これは農地制度見直しで一般法人にも農業参入の道が開かれたことを理由としたもの。
法人化する集落営農組織は8000の見込みで合わせて2万6000の法人が農地面積の1割にあたる46万haを担う姿を描いている。
6次産業化によって雇用も促進されるとして、法人経営で11万5000人の常雇数となると見込んでいる。17年にくらべて6万人程度の創出だ。
こうした常雇は将来は独立して主業農家となる候補者ともいえることから平成32年においては主業農家とその候補者で30万人以上は確保されると見ている。
◆耕作放棄地の再生12万ha
農地面積については32年時点でも21年と同じ461万haを確保するのが目標だ。
32年まではこれまでの趨勢をふまえると農地の転用で14万ha減少し、耕作放棄地の発生は21万haとなる。合わせて35万haの減少となることからこのままでは32年時点では426万haとなる。
今後は、優良農地の転用抑制で5万ha、耕作放棄地も発生抑制で18万haを確保し合わせて23万haの農地を維持する。さらに荒廃した耕作放棄地を12万ha再生させることで32年時点でも現状と同程度の農地面積を確保するとしている。
そのためには耕作放棄地化しないよう十分な経営支援策が求められると同時に、農地転用は厳格化しこれ以上農地を減らさない取り組みが地域に求められる。