農政・農協ニュース

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「医農連携」で健康社会を  農水省が研究計画決める

 農水省の農林水産技術会議は4月8日「農林水産研究基本計画」を決めた。

 計画は「グリーン・イノベーションに向けて」を掲げ、経済と環境の両立を世界と日本の成長の原動力とする必要がある、との考え方を示し、新たな「食料・農業・農村基本計画」の展開方向を踏まえて研究の重点や達成目標などを定めた。
 重点の1つは「医農連携による健康社会の実現」。これまで利用されていなかった生物機能を医療分野で活用する技術の開発だ。
 すでに農林水産業の潜在力を食料生産以外に展開させるため、カイコに新たな遺伝子を導入し、有用タンパク質や高機能を与えた絹糸を生産させている。
 今後は、こうした絹糸などを用いた人工血管、軟骨・角膜再生用素材および創傷被覆材の実用化など、医療分野などでの生物産業の創出に向けた技術を開発する。達成目標は10年間。
 また予防医学に役立つ農林水産物・食品の開発では、機能性成分の評価技術の開発や、農産物の高血圧、脂質代謝異常などを予防する機能性成分の作用メカニズムの解明と利用技術を開発する。これも10年間の達成目標を掲げた。
 この分野の実績としてはすでにメチル化カテキンの抗アレルギー作用を解明して、これの含有茶品種「べにふうき」を開発し、商品化している。

◆マグロ完全養殖化技術は開発中

 「食料問題の解決」というテーマでは、イネの品種・栽培技術開発について単収1・5tで食用米と識別できる飼料用米品種を育成する。加えて米粉パン、米めんなどに対応した直播適性・複合病害抵抗性を付与した多用途品種を育成する。
 小麦は単収がすでに330kg台に向上しているが、今後は穂発芽や各種病害に対する耐性を持ち、収量性に優れた日本めん・中華めん、パン用品種を開発。
 大豆は水田輪作システムにより稲麦と合わせた生産コストを平成20年比で5割以上削減し、また高収益とする技術を開発する。以上はすべて10年間が目標だ。
 このほかマグロなどの完全養殖化バイオマス燃料などの生産高温や乾燥への適応技術開発(イノベーションを支える基盤的研究として)生命現象の解明と遺伝・環境資源の活用などがある。

グリーン・イノベーションに向けた農林水産研究

(2010.04.13)