◆規制改革でも提言
政府は新たな食料・農業・農村基本計画を3月末に決定したが、品目ごとの経営安定対策や環境支払いなど農業・農村の機能に対する直接支払いなど、どう具体化するかは今後の課題となる。
一方、内閣府の行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会では農業分野の課題を検討する「農業ワーキンググループ(WG)」が設置され、農協に対する独占禁止法の適用除外の見直しや、金融庁検査・公認会計士監査の実施などの項目があがっている。
農業WGは4月中に検討課題の絞り込みやヒアリングを行い、4月末に対処方針のとりまとめに向け集中審議をし、5月に省庁間調整を経てWGとしての結論をまとめるとしている。
また、7月に予定されている参議院議員選挙に向けて民主党をはじめ各政党がマニフェストを策定していく見込みだ。
こうした情勢から、マニフェストが今後の政策や予算確保の基本方針になることや、それに合わせて与党は23年度予算・税制改正対策なども前倒しすることも考えられるため、JAグループも包括的な政策提言をまとめることにした。
◆ウェブサイトでパブリックコメントも
農政課題では、水田農業、畜産・酪農、果樹・野菜など品目別に課題とJAグループの考え方をまとめる。そのほかは、▽23年度予算・税制対策、▽WTO・EPA対策、▽規制・制度改革対策など。
5月13日の全中理事会で「政策提言」案を決める。
それをもとにJA段階では組合員に意見を聞くなどの取り組みや青年組織、女性組織では盟友全員から意見聴取するなどの組織協議を進める。
同時に国民各層と連携するために「食料・農林漁業・環境フォーラム」での学習会の実施や、「農を礎に日本を創る国民会議」や消費者、経済団体、労働組合などからの意見聴取を行うほか、ホームページでも広く意見も集める。
また、全政党と国会議員に政策提言案を発信し、意見公募に応じて回答があった国会議員の意見はJA全中のホームページ上で公表する。
こうした取り組みのうえ、6月3日の全中理事会で政策提言を正式に決定する。
6月上旬には全政党の農業政策責任者による討論集会も開く予定だ。また、農協に対する独占禁止法適用除外見直しなどが、規制改革問題で取り上げられることになれば「協同組合全体の問題として他陣営との連携も含めて対応を考える」(JA全中農政部)としている。