内閣府に設置された規制・制度改革に関する分科会農業WG(ワーキンググループ)では検討課題に、農協系統の独占禁止法適用除外の見直しを上げている。分科会は4月30日の第2回会合で今後の検討項目に盛り込み、5月中旬に省庁との調整をし、下旬に農業WGとして結論を取りまとめるとしている。
今回は農業分野の規制改革の論議のなかで課題にされているが、独占禁止法の適用除外制度は、農林漁業者だけではなく、小規模な中小事業者、消費者が協同組合を組織して共同経済行為を通じて大企業と競争できるよう協同組合一般に対して措置されている。このため関係する協同組合と連携した取り組みとして緊急の共同声明を出した。
声明では、協同組合は、消費者、農林漁業者、小規模事業者などが「一人ひとりでは実現することが困難な生活防衛や経済的事業を協同して行うことによって経済的・社会的地位の向上をめざす」ことが目的であるとし、この目的を実現し市場において有効な競争単位となり大企業と競争できるよう、独占禁止法は協同組合に対して同法の適用除外制度を措置していることを改めて強調している。
その際の協同組合とは(1)加入・脱退の自由、(2)一人一票制、(3)利用分量配当、(4)出資利子制限(出資金に対する利子の制限)という「共通の基本原則」を満たすものであり、同法ではこうした協同組合の行為を同法の目的である「公正かつ自由な競争秩序の維持促進」と位置づけている。
そのうえで声明は、協同組合の経済行為は規模やシェアなどの形式的要件で判断されるのではなく、協同組合が「共通の基本原則」に沿った運営がなされているかで判断されるべき、と指摘。
さらに「共通の基本原則」に沿った運営をしている協同組合を独占禁止法の適用除外としないという考えならば、「そもそも独占禁止法が適用除外制度を設けた趣旨を否定し、かえって独占禁止法の目的をないがしろにするもの」、「協同組合の世界的な共通の概念を否定する」として到底認めることはできない、と宣言している。
緊急共同声明を発表した団体は以下のとおり。▽生活クラブ生協連合会、▽日本労働者協組連合会、▽全国中小企業団体中央会、▽全漁連、▽全国共済水産協組連合会、▽全森連、▽JA全中、▽JA全農、▽JA共済連、▽農林中央金庫、▽家の光協会、▽全国新聞情報連、▽全国厚生連、▽農協観光。