研究会のテーマは新基本計画。同計画では戸別所得補償制度については、今年度のモデル対策の実施状況をふまえて米、麦、大豆等の土地利用型作物を対象に実施を検討するとされているが、佐々木政務官は23年度から米と麦、大豆で本格実施することを強調した。
そのために「秋口までに大まかな制度設計ができていないといけない」と話し、8月の23年度予算概算要求時点で一定の制度を示す考えを明らかにした。
麦、大豆については今年度のモデル対策では交付金単価が昨年度より低下した地域も出ているが、23年度の本格実施ではそれぞれの品目で生産費と販売価格の差額を補てんする仕組みが導入されることになる。
また、秋まき小麦を考えると「来年の通常国会では間に合わない」として秋の臨時国会に戸別所得補償法案(仮称)を提出、成立をめざすとした。そのうえで「品目横断対策の法律(農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律)と入れ替えていかなければならない」と話し、現行の水田・畑作経営所得安定対策による麦、大豆への交付金支払いから、戸別所得補償制度による支払いに転換させていく考えを示した。今後、制度設計と法案をセットで検討していくという。
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佐々木隆博農水大臣政務官
◆環境保全は地域振興策で支援
会場との意見交換では、環境保全と水田の利活用との関係について質問があった。
基本計画では、農林水産分野での生物多様性や環境保全に向けた活動を促進するとしているが、現在渡り鳥の飛来に備えて水張りしているだけの水田なども「将来的には利活用して、できるだけたくさん農作物をつくってもらいたい」とした。土地改良で沼地に転換するといった環境保全活動など、生産向上とは矛盾する取り組みについては、「戸別所得補償制度ではなく、これから法案づくりをすすめる6次産業化法案などの地域振興策で支援したい」とした。
その6次産業化については、会場から「法案の狙いが分からない。内容をきっちり伝える必要があるのでは」と問われ、「法律用語で長い名前をつけるよりは、すっきりしていてよいと思う。農山漁村活性化の取り組みを奨励するような内容にしたい」と説明した。
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農政ジャーナリストの会勉強会で新基本計画について意見交換した。