当面の具体策として、これまでBSEや鳥インフルエンザなどの発生に対してJAグループとして募ってきた募金を家畜疾病対策募金と名称を改め、残高3000万円のうち2500万円を全中会長決裁でJA宮崎県対策本部に贈呈する。
また、全国のJAグループ役職員で総額1億円を目標にした募金を実施する。実施期間は5月中旬から6月末までの約2か月間。対象者はJAグループの役職員と青年部、女性部の構成員など。
そのほか5月12日には政府等への要請事項として▽防疫の徹底・感染経路の解明と防疫措置への万全の支援、▽生産農家・産地への万全の再建支援策、▽風評被害の発生防止対策を柱とした内容を決め、民主党酪畜小委・幹事長室に要請を行うなど関係方面に要請する。
要請では、口蹄疫問題は宮崎県とその隣県だけにとどまらず、わが国畜産の存続に関わるとともに、国民生活にも大きく影響する極めて重大な問題であることを強調、殺処分をはじめとした防疫作業にかかる費用の全額国庫負担や、処分家畜評価額の全額補償などを求めている。
JAグループでは、1例目が確認された直後から農家と産地に対する支援に着手している。
JA全農と宮崎経済連では、獣医師や消毒要員など応援人員の派遣、発生地域の畜産農家が必要とする飼料や資材の提供を行っている。
JAバンクでは相談窓口を設置、口蹄疫の影響を受けている農家の営農を資金面でサポート。JA共済連では口蹄疫で被災した農家の共済掛け金の払込猶予期間の延長を実施している。
5月13日現在で擬似患畜を含め86例が確認されており、殺処分対象は牛6604頭、豚7万3653頭で合計8万257頭となった。口蹄疫が発生した農家、地域では経済的な損失だけでなく、飼養してきた家畜をすべて殺処分しなければならないという精神的な打撃も大きい。 また、移動制限区域、搬出制限区域の設定により宮崎県の繁殖農家から子牛を仕入れて肥育してきた全国の肥育農家にも、子牛出荷停止の影響もある。まさにわが国の畜産全体の危機となっている。