適格退職年金制度は、昭和37年に創設され広く普及してきたが、積立義務や受託者責任、情報開示など受給権保護の仕組みが不十分であったため、平成13年の確定給付企業年金法の成立に伴い、14年4月以降の適年新規設立が認められなくなった。さらに既存の適年も時限的措置により24年3月末をもって廃止されることが決まっている。
下図のように他の企業年金制度などへ移行しなければ、24年4月1日以降、適年としての税制上の優遇措置が一切なくなる。したがって移行しない場合、JAの場合ならその掛金は、職員の「給与所得」とみなされ、所得税の課税対象になる。退職者の場合には、年金は公的年金控除が「不適用」に、一時金も退職所得控除が「不適用」となり課税対象となるなどの不利益が生じることになる。
JA共済連では、平成20年6月から適年の移行を開始し、22年度中に完了する計画で実施してきた。
22年5月1日現在では、JA共済における移行対象375団体中約46%にあたる171団体の移行が完了した。その内訳は、確定給付企業年金(確年)145(JA共済連142、生保・信託3)、中退共(中小企業退職金共済制度)4、特退共(特定退職金共済制度)19、解除3となっている。
特退共が比較的多いのは、確年と異なり、年金数理を使用した制度ではなく、貯金的な仕組みで分かりやすいことと、JA合併時にのみ適年から移行することが可能なためだという。
JA共済連では、23年4月1日までに95%の移行が完了するものともみているが、手続きなどに時間がかかるので、すべての移行を23年9月1日までに終わりたいと考えている。
JA職員の老後の所得を確保するなど「職員のメリットを確保するためにも早急な移行手続き」をとJA共済連では呼びかけている。