◆7割が「減」 21年の年間コメ販売量
全国米国販売事業共済協同組合が今年2月、平成21年のコメ販売量が前年比でどう変わったかを調査したところ、「増えた」「やや増えた」の合計が全体の15%だった一方、「減った」「やや減った」など「減」の答えが68%と7割ほどになった。業者別では、米穀専門店の85%が「減」と回答。スーパーや飲食店でも4〜5割が「減」だった。
農水省が昨年11月発表した22/23年のコメ需要見通しは813万tで21年より8万t減り、22年6月末の期末在庫は308万tと7年ぶりに300万tを上回る見通しで、21年産米の相対取引価格はほとんどの銘柄で20年産米を下回り(グラフ参照)、厳しい状況が続いている。
情報交換会は、4月1日から受け付けが始まった戸別所得補償モデル対策について、生産者へ定額の交付金が支払われることを理由に不当な値引きを強要するなど、流通での不適切な取り引きを防止することが主な目的だったが、関係者からは需給・価格動向、過剰米・新規需要米の出口対策などについての意見が相次いだ。
◆新規需要米・過剰米の出口対策に要望あいつぐ
需給・価格の動向について、全国米菓工業組合の松本裕志専務理事は「4〜5月の価格は好調に推移している」とする一方、神明の吉川和男専務取締役兼米穀本部長は「3〜4月で出荷自体は伸びたが在庫が多いため、22年産米の契約を増やすことは考えていない」と、それぞれの見通しを述べた。
ホクレンの箱石文祥米穀部長は、「21年産米の在庫が多く、22年産米価格はさらに落ちると予測している」と生産現場での価格下落への不安を伝えるとともに、過剰米への対策を求めた。JA全農の川崎史郎米穀部長も「全体的に主食用米が減り、21年産米は出荷で苦戦している」と現状を述べた。
新規需要米についても、山崎製パンの荘司芳和取締役購買本部長が「コストの面で小麦粉より米粉を選択するメリットがない」と米粉利用の現状を述べ、全国稲作経営者会議の佐藤正志会長が「これまで生産調整に参加してこなかった人も新しい制度には加入してきている。しかし米粉用米の需要を増やすような対策が必要だ」と、早急に出口対策を講じるよう訴えた。
これらの要望に対して農水省の針原寿朗総括審議官は、「戸別所得補償は米価の変動について制度内にセーフティネットを盛り込んであるので、新たな出口対策を講じない」と明言した上で、「これまで農水省は、価格が下がるたびに対策を講じてきた。今回もまた何かやるだろうと思われているなら、そういった発想を大きく変える必要がある」と述べた。
情報交換会について同氏は、各所からのさまざまな生の意見を聞けたのは非常に有意義だったと感謝し、今後も継続的に開いていく考えを示した。