農政・農協ニュース

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アフリカでの稲作増産、農業農村の発展を支援  FAOブルキナファソ稲作セミナー

 FAO(国連食糧農業機関)とJAICAF(国際農林業協働協会)は6月4日、都内でブルキナファソ稲作セミナーを開いた。
 日本政府は2008年から、ブルキナファソでネリカ米種子の供給体制整備などでコメの自給率を高めるため、FAOの総合的イネ生産システム導入を支援している。セミナーでは支援事業のナショナルコーディネーター、シビル・ムキアン(Sibirou Moukian)氏が、事業の成果と今後の展望、ブルキナファソの稲作事情などを紹介した。

◆国産米より3割安い輸入米に依存

ブルキナファソ地図 ブルキナファソ(首都:ワガドゥグ)は西アフリカの内陸国。人口1500万人のうち8割が農村に住み、農業生産がGNP(国民総生産)の5割を占めている。
 同国では主な食用穀物はソルガム、パールミレットなどだったが、1960年の独立以降コメの消費量が急増。当時は年間の1人あたり消費量が4.5kgでコメはぜいたく品だったが、2002年には24kgとなり、現在都市部では50kgを超えている。
アフリカの稲作事情についての質問が多く出された 年間需要量が45万tに膨れ上がった一方、国内生産量は精米換算で6.5万t(06/07年)と低調で大半は輸入だ。国産米は輸入米より3割ほど高いため貧困層は輸入米に依存しているが、良質な国産米へのニーズは高い。
 国民への国産米の安定供給、農業技術・生産力強化と持続的発展、農村地帯の食料安全保障・雇用創出・所得増大・地位向上などをめざし、09年2月から日本政府が全額資金負担する「ブルキナファソにおける食料安全保障と貧困削減のための革新的稲作総合生産システムを通じた農業農村開発プロジェクト」が始動した。

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各方面から多数の参加者があり、アフリカの農業・食料事情などについて多くの質問が出された


◆種子を変えるだけで4割増産

シビル・ムキアン(Sibirou Moukian)氏 プロジェクトは灌漑稲作3カ所、低湿地稲作4カ所の計7カ所で行い、アフリカ稲作用の改良品種ネリカ(NERICA)米の高品質種子の流通とコメの生産・加工などのシステム確立、水利の施設整備、などを通じて、農業者が自立して稲作を営めるようにするのが目的だ。
 09年は570人の農業者に種子15t、肥料84t、除草機や動力ポンプなどを提供し、24人の普及員を派遣した。
 その結果、洪水や病害虫被害などに見舞われたにもかかわらず収量は大幅に増え、生産者も平均で約3割の増収を達成した。ムキアン氏は「種子を(ネリカ品種に)変えるだけで、4割の収量増が可能だ」という。
 プロジェクトは2年間の予定なので11年2月に終了するが、その成果を基盤に、稲作のさらなる普及拡大をめざした中期国家戦略を策定したい考えだ。「今後も国内のコメ消費量は増大するだろう。コメの自給達成をめざし、さらなる灌漑水田の利活用と新たな開田に期待したい」(同氏)としている。
 日本政府は08年5月の第4回東京国際会議で「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」を立ち上げ、アフリカ稲作の10年後収量2倍をめざしている。

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シビル・ムキアン(Sibirou Moukian)氏

(2010.06.10)