農政・農協ニュース

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安定した農政をいかにつくるか―政策討論集会

 6月8日にJA全中が開いた政策討論集会ではJAグループの政策提案を軸に議論した。出席した国会議員の発言概要をまとめた。

農業・農村の活性化に向けた政策討論集会

 

◎持続できる環境整備
民主党・一川保夫氏【民主党・一川保夫氏】

 なぜ政権交代したか、再度認識を。3年前の参院選挙の勝利には農業政策があった。政権交代で農家の大変さがどこにあるか、それをしっかり受け止める政治が大事で政策を大幅に転換した。全国どこでも持続的に安心して農業をやっていける環境を整える。
 前政権はある一部の担い手こだわり農村を活性化させる政策体系に欠けていた。意欲ある人すべてに農業をやってもらうように戸別所得補償制度を導入した。われわれは多面的機能の発揮と6次産業化もふくめ取り組んでいる。
 これは自由化とはリンクはしていない。農業・農村を崩壊させるような自由化はしない。
 米の過剰対策は需給調整に協力した人にメリットがなければならない。買い上げると非協力者にもメリットとなる。ここが前政権の失敗だ。対策はタイミングをみてしっかり検討していく。国民理解も必要で責任ある対応をしていく。


◎MA米が最大の課題
国民新党・松下忠洋氏【国民新党・松下忠洋氏】
 政党間に基本的な違いはない。切り口、どこから始めるかに違いがある。いちばん大事なことはミニマムアクセス米をどうするか、国家として決断すること。1200万人分にあたる毎年77万トンのMA米の輸入をこのままにするのか。これを放置して農業政策は語れない。MA米をどう使うかから出発しなければならない。


◎多面的機能新法を提起
自由民主党・宮腰光寛氏【自由民主党・宮腰光寛氏】
 品目横断政策で小規模農家切り捨てと言われたことを反省し地域の多様な担い手を支えていく政策を検討してきた。今のモデル対策は産業政策なのか、社会政策なのか分からない。われわれは基本的に政策を分け、多面的機能を評価した日本型直接支払いの仕組みを「多面的機能新法」として法制化する考えだ。
 JAこそ地域の担い手との認識で機能を発揮する政策を推進する。


◎食料安保特別予算を
公明党・石田祝稔氏【公明党・石田祝稔氏】
 食料安全保障の特別予算枠をつくる。モデル対策では5000億円を確保したが一方で基盤整備予算は大幅に削った。総理直轄の予算枠が必要だ。
 再生産価格は地域によって違う。地域に応じた価格を検討していく。MA米は海外援助に回すべきだ。米の問題では出口対策は必要だ。儲かる農業にすれば担い手対策はいらないはずだ。


◎価格補償と所得補償
日本共産党・紙智子氏【日本共産党・紙智子氏】
 モデル事業の補償水準は低すぎる。自給率50%を実現するには不足払いと直接支払いを組み合わせる政策が必要だ。戸別所得補償制度は輸入自由化推進と一体となっていることが問題。食料主権は国連人権委でも認めている。食料については各国それぞれが決める権利があることをWTO交渉でもしっかり主張していくべきだ。


◎米40万トン買入れを
社会民主党・吉泉秀男氏【社会民主党・吉泉秀男氏】
 価格が下がっても売れない。かつてない事態で現場から悲鳴が上がっている。21年産米は40万トン以上持ち越しになるのではないか。政府が買い上げていかなければならない。備蓄制度について国の責任をどうするか検討していく。
 6次産業化と再生可能エネルギー利用を考えると農村は幅広く人材を求める必要がある。Uターン希望も増えており農家の後継者ではない人材が地域のなかでどう儲けていくかを考えていく。新規就農者に月20万円の支援策を実現する。


◎アジアへの進出必要
みんなの党・浅尾慶一郎【みんなの党・浅尾慶一郎】
 農業だけで暮らしていけることが大事だ。安心・安全な農産物に対するニーズはアジアでも高まっている。日本市場は縮小するが、アジアを市場とする農業への転換も必要だ。
 農業には地域ごとに特色がある。地域にあった農業のために戸別所得補償を導入することは必要。ただ、あれもこれもでは農業展望が開けない。年限を区切って担い手の数、確保すべき農地面積などを決めていくことも重要だ。

(2010.06.14)