今回同研究所の研究でわかったのは2点。
1つはイネが持つ開花ホルモン「フロリゲン」の生産に日長時間が関係していたことだ。実験で10時間〜16時間までの日長時間で4日間イネの栽培実験を行ったところ、フロリゲンを合成する遺伝子(Hd3a)とフロリゲンの生産を促す遺伝子(Ehdl)の働きは13時間日長時まで見られたが、30分後の13時間30分になるとほぼ働かなかった。この結果から30分の差を認識できる“体内時計”がイネにあり、その機能が開花を調整していることがわかった。
2点目はイネに開花ホルモンを促進・制御する調節機能があること。イネは光情報をとりこむ“門”のような調節機能を持ち備えている。
“門”の働きを調べた実験で、Ehdlの働きを決める門は短日、長日条件のどちらとも朝に開くことがわかった。門が開き、太陽光が入ることでEhdlが働きイネが開花する。
一方、開花を抑制する遺伝子(Ghd7)の働きを決める門は長日条件下の朝に開くものと短日条件下の夜中に開くものの2つある。
Ehdlの働きは前日にGhd7が働くことで抑制されるため、長日条件下では開花しない。しかし季節の変化で日長が短くなると、門は夜開くためGhd7の機能は弱まりEhdlが働く。
この研究成果は今後、人工的にイネの開花を調節する技術開発に役立つと期待できる。