機能性だけでなくデザイン性を兼ね備えた農作業着を作ることで農業の魅力にもつながれば―全農の思いに同大学が賛同したことでこの企画が実現した。
今回行った研修会は、学生が農作業を体験し農業を理解することでウエア開発のヒントを得ようという企画の一環だ。
参加したのは服装学部機能デザインコースの学生と教授46人。同コースは人間工学などに基づきながらスポーツウエアやインナーウエア、ユニバーサルデザインウエアなど機能性を追求した洋服の考案を学んでいる。同大学の田村照子教授は「農作業着は動き、紫外線、暑さなど機能性の限界を要求されるため勉強には最適だと思う。そのなかで新しいものが生まれ、農業の活性化につながれば」と期待する。
(写真)メロンハウスを見学
◆現場からヒントを
研修ではナシほ場の視察やJA山武郡市管内でのナスの収穫体験などを行った。この日は30度を超す真夏日だったこともあり、収穫体験したビニールハウス内の暑さに驚く学生もいた。学生たちはハウスの温度や作業時間などについて質問するなど、暑さに対応したウエアの必要性を感じたようだ。
今回初めて収穫を体験したという学生は「想像以上に大変な作業だということを身をもって感じた。ハウスの中は本当に暑かったので通気性を一番のポイントにした服を考えたい」と話した。
(写真)関東では珍しい水ナスの収穫も体験
◆商品化めざして
収穫体験後は千葉県農協青年部協議会の生産者らと意見交換会を行った。「一日何回着替えるか」、「普段持ち歩くものは何か」、「いくらくらいの値段が理想か」、「現在不具合に感じていることは何か」―など学生からの活発な質問に生産者が普段の作業を振り返りながら答えていた。
一日の研修の中で生産者から「ナシの作業時に黄色い服だと熟度を見間違えるため不都合」、「黒い服はミツバチが寄ってくるから避けたい」、「トマトの作業では葉の渋が付くと汚れが落ちないため白い服は向かない」といった声があがり、品目による課題があることも学生たちの参考になったようだ。
同企画は大学内で「ファームファッションコンテスト」のデザイン画を募集し、最終的には優秀作品の商品化をめざす。また毎年同大学で行われているファッションショーに農作業ウエアのコーナーを設ける構想もあるという。
(写真)意見交換会のようす。生産者の声からアイデアを練っていく