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「牛乳に相談だ。」5年間を総括 認知度得るも消費減退は止められず  中央酪農会議

 中央酪農会議(中酪)は6月30日、2005年度から09年度まで5年間続けた「牛乳に相談だ。」キャンペーン(牛乳消費安定・飲用需給構造改善事業)の活動総括を発表した。

「牛乳に相談だ。」キャンペーン 同キャンペーンは、飲用牛乳消費の減少傾向が強かった中高生をメインターゲットにして、消費拡大・維持を図ろうとスタート。資金はすべて全国の酪農家からの拠出金で賄われ、5年間で40億円ほどを投じ、テレビ・ラジオCMやインターネットのホームページなどで幅広い活動を行った。
 東京都内でのキャンペーン認知度は、スタート当初は5割ほどだったが2年目後期からは8割前後を維持した。好感度も全体で5割ほどあり、特に19〜49歳の女性で好感度が6割を超えるなど好評だった。
 一方で、飲用牛乳の消費量減退は解消されず、アンケートで「以前より牛乳を飲むようになった」と答えた中高生は毎年全体の2割程度で、消費量の減少率は毎月▲2〜▲4%ほどで推移した。
 前田浩史事務局長は5年間の成果について、「牛乳の消費減退トレンドに対して有効だったかどうかはわからないが、キャンペーン自体は大きな成果をあげた」と総括した。
 総括の概要は、近日中に中央酪農会議ホームページで公開する予定。


◆酪農家からの発信型新キャンペーン

 中酪は2010年度から3カ年の計画で「牛乳消費喚起対策事業」(通称「ミルクジャパン」)を始める。4月下旬に審査会を行い、広告代理店を東急エージェーンシーに選定した。
 新キャンペーンは「牛乳に相談だ。」の結果を踏まえて、メインターゲットを実際の購入者である主婦層に、食品メーカーなどともタイアップし直接飲用以外の消費を呼びかけ、生産者からの発信型コミュニケーションを軸に信頼性を高める、などを基本戦略とし、引き続き全国の酪農家からの拠出金で年間6億円ほどの予算を組んでいる。そのうち2億円は地方に根ざした活動に使う予定だ。
 新キャンペーンについて中酪は、「酪農家を巻き込んで草の根運動的な展開をめざす。新しい社会的ムーブメントを興せるようなキャンペーンにしたい」(前田事務局長)としている。
 「牛乳に相談だ。」とは形の違うものになる見込みだが、同キャンペーンの認知度・好感度の高さからロゴマークとサウンドロゴの存続を望む声も多く、何らかの形で残していく考えだ。

(2010.07.01)