◆11のプロジェクト
検討本部は農相を本部長に首相補佐官や全府省の大臣政務官らで構成し、有識者委員も交えて議論をしてきた。
「食」は成長の基盤となる重要なテーマのひとつというのが政府の考え。しかし、それを支える「農」と「地域」には農業所得の大幅減少、農村の活力低下など課題が山積していることから、政府として一体的に施策を展開するために検討本部が設置された。
これまでの議論では食文化を軸とした施策の重要性や医療、教育との連携など新たな視点も提起されている。
中間とりまとめでは「国民全体で農林漁業・農山漁村を支える社会を創造するための11のプロジェクト」を提示した。プロジェクトの概要は以下のとおり。
(1)地域資源を活用した農山漁村の6次産業化のための連携(農業経営の多角化・高度化、観光との融合)、(2)再生可能エネルギー導入拡大のための連携(全量固定価格買取制度の検討)、(3)食文化を軸とする観光・産業・文化政策の連携、(4)戦略的マーケティング展開のための連携・国内市場(給食と地場産物のつなぎ)、(5)同・輸出促進、海外展開(東アジア品種保護庁の設立による植物新品種保護制度、日本ブランド化)、(6)子どもからお年寄りまで食や農の教育機能を享受する生活への連携、(7)医療・介護・福祉との連携(科学的証拠の蓄積)、(8)農山漁村コミュニティの再生、地域活性化に向けた連携(若者定住促進)、(9)農山漁村の環境保全に向けた連携、(10)ビジョン実現のための国民運動、(11)総合的な食料安全保障の確立(海外農業投資の支援等)。
◆農協改革「議論になじまない」(佐々木政務官)
7月1日の会合では生産者と消費者の距離を縮めることもテーマだとして、一部の有識者委員から「農協改革も含めて検討すべき」との意見もあった。
これについて農水省の佐々木政務官(検討本部副本部長)は会合後に記者に対して、生産者と農協は切り離なせず農協は不可欠の存在であると指摘したほか、連合会についても「単協が必要だからとつくったもの」とし、農水省として何らかの改革等を働きかけるのは適切ではないとの認識も示し「少なくともこのビジョンで検討するものではないと思う」などと述べた。