果樹栽培は種苗の定植から収穫まで10年ほどを要し、その期間は収益がないため、大規模な品種・品目改良や転換、新規就農者の参入などを阻む大きな要因になっている。新方針では、この未収益期間にも何らかの支援をするための方法を検討する、としている。
農業者の経営安定のためのこのほかの取り組みとして、果樹共済への加入促進をあげている。
国産果樹の需要拡大では、9年前から始めた「毎日くだもの200グラム運動」の成果が出ていないことを反省し、年代別・生活スタイル別の果実摂取やメニューの提案、食育の推進などで運動の推進を図る。
また、生食用果実の自給率が6割を超える一方、加工用は1割程度と低迷していることから、新たな加工品の開発や、かんきつ果汁工場の再編など、果樹加工の合理化をめざす。
輸出については、重点的な輸出対象国や地域を定め、輸出を見据えた産地を育成するほか、日本産ブランド表示の促進などを行う。
そのほか、GAPの導入やバイオマスの活用なども盛り込んだ。
今後の生産目標としては、ウンシュウミカン、リンゴなど政令指定品14品目(※)の合計で、平成20年が生産量338万t、面積24万8000haに対して、12年後の平成32年目標を、同333万t、23万4000haとした。
また将来的に生産性の高い果樹経営を実現するために、目標とすべき10aあたり生産量と労働時間も示している。リンゴならば、普通樹形で10aあたり3t、211時間、加工用で同4t、116時間など。
※政令指定品目
ウンシュウミカン、その他カンキツ類、リンゴ、ブドウ、ナシ、モモ、黄桃、ビワ、カキ、クリ、ウメ、スモモ、キウイフルーツ、パインアップル