国内貨物の動向から
景気の方向性が見える
◆景気の転換点を知らしめる指標
まず図1をみて欲しい。これは日通総研が独自に行っている調査に基づく「荷動きの実績と見通しの『荷動き指数』」をグラフ化したものだ(ただし2010年2期の実績は「見込み」の指数)。
この調査は四半期(3、6、9、12月)ごとに、その期の「荷動き」の実績と次期の見通しを調査している。例えば、07年4期(10―12月)の調査では、実績は前年対比+3だが、次期(08年1―3月)は△2の見通しとなっている。グラフを見ると「実績」と「見通し」がほぼ同じような推移をしていることが分かる。つまり、この「荷動き指数」の「見通し」に近い状況で国内貨物輸送量が動いている。
しかもこのグラフは「期によって多少の相違はあるが、実質国内総支出の動きと連動する傾向にある」ことが分かる。
国内の景気は、内閣府も後に認めたように、景気の山は07年10月に「最後の山を形成し、以降急落していく」。そして「リーマンショック」を経て、09年3月を「谷」に上昇に転じていく。そうした景気の動向をこの「荷動き指数」のグラフがみごとに描いている。しかも、他のさまざまな景気指標より早くにだ。そういう意味で、これは景気の転換点を知らしめる指標だともいえる。
佐藤さんはこの指数は「景気の水準を示すものではなく」「景気の方向性を示す」ものと位置づける。そのため3カ月ごとに発表される「日通総研短観」(「短観」=企業物流短期動向調査)は、これから3カ月「景気は上向くのか、下向くのか」が予測できると注目を集めている・・・。
写真:(社)全日空トラック協会より
(続きは「クローズアップ・物流」で)