特集は米国の動向を詳述し、WTОドーハラウンドでは、新興国に「新たな市場アクセスを求める姿勢を打ち出して交渉を停滞させている」とした。
また交渉が進展しないもう1つの原因は、米国の農業補助金にあるというのが「共通の見方となっているといってよい」とした。特集は締めくくり部分で要約次のように述べている。
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ブラジルが訴えを起こしていた米国の綿花補助金問題についてWTОから違反の判定が下されたが、米国は多額の援助(見返り)やごく一部の政策の見直しにより、報復措置を回避し、主要な問題の解決を次期農業法まで先送りすることに成功した。
これは「WTОドーハ・ラウンド交渉でどれ程の市場アクセスを得られるかがはっきりしない限り、国内支持の削減はできない」という議会・農業団体の意向を米国政府が尊重したものともとれる。
米国内の議論を見ると「価格支持から所得補償へ」の動きは見られるものの、それはEUのような「黄から緑へ」といえるものともなっていない。
現時点では、議会・農業団体は「農業者にとって最も有利な政策は何か」を追い求めており、一方、政権には、財政赤字の削減や、農村振興と雇用創出などの対策をいかに充実するかという意図しか見えてこない。
ラウンド交渉への影響は、彼らにとって、あくまで「副次的なもの」であり、優先されうるものではないということだろう。
今後は「本年11月の中間選挙後、次期農業法に向けた議会・農業団体・政権の思惑が徐々にはっきりし、着地点を探る動きが本格化してくるだろう」。