水田の多くが平野部にある一方、畜産農家は中山間地に多いため飼料用のイネやムギなどはロール状にして輸送されているが、それには専用機具が必要な上、ロールベールの変形やラップフィルムの破損による品質劣化を防ぐため作業者の熟練も必要とされてきた。
このため農研の畜産草地研究所は、専用機具がなくても荷を簡易に吊り上げて、耕種農家や輸送業者が一般的なフォークリフトなどで取り扱うことができるロールベールの荷役作業技術を開発した。
補助具のフォークリフト装着式「荷役具」は大量輸送向けに、またクレーン装着式「クランプ」は輸送とともに計量作業を簡易に行うためにそれぞれ開発した。
フィルムなどで密閉してロールベール内で保存した飼料は「ロールベールサイレージ」とも呼ばれる。
これまでは取り扱いになれた畜産農家やコントラクター(作業受託組織)が輸送作業を担ってきたが、飼料イネの生産が拡大し、流通の範囲も量も増大して、それだけでは対応できなくなっている。 同機構は、この開発が国産粗飼料の流通円滑化と飼料自給率の向上につながるものと期待している。
「荷役具」はフレコンバッグのメーカーが製造・販売を始めた。また「クランプ」は同研究所から図面などの情報提供を受けた鉄工所の受注生産が開始されている。
問合せ先は農研機構畜産草地研究所TEL0287-37-7004