国際協同組合年は世界の協同組合の組合員、役職員自身が意義と役割について学び、実践と交流を通して協同組合の仲間と理解者を増やしていく絶好の機会だとして、国内の協同組合が連携して取り組みを展開していくために実行委員会が結成された。
代表の内橋氏は記者会見で「新たなもうひとつの経済を協同組合が中心となってその他の市民組織とともにめざす。現在の行き過ぎた市場原理主義への対抗軸として盛り上げていく」と国際協同組合年の意義を強調した。
茂木副代表は「地方・地域の活性化、失業、非正規雇用の問題の解決、環境保全、福祉、食料自給率の向上など大きな課題に対して協同組合が力を発揮できるよう発展させるともに、役割、価値観が広く認知される取り組みを行っていきたい」と話した。
また、山下副代表は「賀川豊彦は日本生協連の初代会長。救貧活動に身を投じ、人格経済を唱えた賀川豊彦の協同の思想を100年に1度の危機と言われる今日、どう受け止め直しわれわれの事業の核としていくにはどうすればいいか考える契機にしたい」などと語った。
◆協同組合憲章の創設も視野に
会合では、国際協同組合年を機に協同組合憲章を確立すべきだとの意見も出た。また、協同組合の事業と運動をどう均衡させるかも課題との指摘もあった。
内橋代表は「国連の提起は、現在の市場が主語になっている社会に対し人間が市場を制御するべきとの認識が基盤になっていると思う。高い理念と協同組合自身が足下を固めるというその両方の釣り合いをとりながら各地で様々な取り組みを展開したい」と話した。
記者会見には名誉顧問に就任した宇沢弘文東大名誉教授も出席、協同組合思想の原点には1891年にローマ法王が世界に向けて発信した文書(回勅)「資本主義の弊害と社会主義の幻想」にあると紹介し「すべての人たちが協同して苦しい時代を切りひらくことを強調した重要な文書。その中心が協同。国際協同組合年は非常に意義がある」と話した。
今後、幹事会を設置し具体的な取り組みを企画する。来年の国際協同組合デーなどでフォーラムを開催するほか、東京だけの運動にならないよう都道府県ごとの実行委設立も働きかける。ホームページによる情報発信や共通ロゴを製作し各協同組合が事業で使用することなども検討していく。
また、政府に対しては国連宣言をふまえ、統一窓口を設置し行動計画を策定するなど責任ある取り組みを要望していく。
他の役員は▽副代表:生源寺眞一(生協総研理事長)、童門冬二(作家)▽監事:村岡範男(日本協同組合学会会長)、森田松太郎(公認会計士)