小那覇 安優 氏
JA沖縄中央会会長
JAおきなわは、平成14年4月に県単一JAとして発足。17年に信連、経済連を包括承継。現在、組合員12万人(正5万4000人、准6万6000人)、総資産8023億円で、各事業部門ごとにみても県内有数の経営体となっている。
合併当時は、かなり厳しい状況で発足したが、「3次にわたる中期計画を進めてきた結果、金融・共済・経済各事業が順調な伸びを示し、財務基盤は強化され、安定した」と小那覇会長は評価する。
◆県単1JAの強みを発揮
会長就任の抱負として、「組合員の生活、営みを相互扶助によって支える協同組合の役割、価値を再認識する中で、JAの組織機能、つまり農業で結ばれている組織であると同時に、たくさんの離島があり赤字であってもそこで信用・共済・経済事業を展開している地域組織であること。そして農協の相互扶助という理念からくる非営利組織という3つの組織機能を常に意識し、地域農業振興、地域活性化に取り組んでいきたい」と語った。
JAの事業展開として、県単1JAとして信用・共済・営農経済に取り組んでいる総合事業の強みをいかに発揮していくかが課題だと考えている。
具体的には、営農経済部門の「とことんあってコミュニケーション」のTACの機能。共済事業の「3Q訪問活動」。そしてJAバンクの融資渉外は、事業は異なっても、いずれも組合員の庭先まで入り、組合員の目線で情報を提供・収集するという「視点はまったく一緒だから、総合事業体として情報を共有化することで、新たな事業展開が可能」で、5月から導入した総合ポイント制と結びつけることが、県単1JAの総合事業体の強み発揮になるのではとも。
◆離島の不利条件をどう克服するか
農業・農政面では、県内農家の7割、栽培面積の5割を占める基幹作物であるサトウキビの問題がまずあげられる。とりわけ黒糖については沖縄産の評価が高くなるにつれ、原産国表示がない輸入含みつ糖や粗糖からの再製糖が、沖縄黒糖の3分の1から2分の1の価格で販売され、沖縄の離島に点在する含みつ糖工場が大量の在庫をかかえるなど資金繰りに苦しみ厳しい経営状況にあるからだ。
畜産では、宮崎県で発生した口蹄疫の影響で、県内家畜市場を2カ月間休止せざるを得なかったが、特措法では「隣接県」にしか国の補償がされず農家をはじめ県内関係者は大きな損失を抱えている。これをどうするか。
さらに、離島であるため輸送コストがかかり、沖縄が努力して広めたゴーヤやマンゴーが本州や九州との産地間競争に勝てないという条件の不利性をどう克服するかも小那覇会長の肩にかかる課題だ。
座右の銘は、勝海舟の「行いは我にあり、評価は他にあれ、我関せず」で、その心は「農家の目線で考え、仕事をすることが原点」ということだ。
【Profile】おなは・あんゆう
昭和16年生まれ。39年琉球大学卒、同年琉球農業試験場名護支場、平成11年沖縄県農林水産部長、16年沖縄県農業協同組合経営管理委員、17年沖縄県農協中央会副会長、19年沖縄県農協経営管理委員会会長。22年沖縄県農協中央会会長就任。