農政・農協ニュース

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【新中央会会長に聞く】全国の模範になる1JA構想を実現  萬代宣雄氏(JA島根中央会)

 全国のJAグループ県中央会は6月から7月にかけて総会を開き、再任を除くと今年は7県で中央会の新会長が誕生した(既報)。7名の新会長に、▽県下の農業・農村・JAの現状と課題、▽県JAグループのトップとして特に力を入れたいこと、についてインタビューを行った。
 農業は都道府県単位で努力してある程度やれるものと、コメなど全国レベルで対策を講じなければいけないものと、大別するとこのような役割分担がある。後者については、島根県の問題や実情を全国連や国政へ訴えて、地域農業を成り立たせるための運動が重要だ・・・

萬代 宣雄 氏萬代 宣雄 氏
JA島根中央会会長

 農業は都道府県単位で努力してある程度やれるものと、コメなど全国レベルで対策を講じなければいけないものと、大別するとこのような役割分担がある。
 後者については、島根県の問題や実情を全国連や国政へ訴えて、地域農業を成り立たせるための運動が重要だ。各単協の問題点を伝えて、農家の想いを実現するよう働きかけなくてはいけない。生活が保証されるような農業、後継者・担い手が放っておいても育つような環境、それをつくるのが我々農協に課せられた課題だろう。


◆健全経営の中で、将来見据えた合併

 当面の課題でいえば、島根県1JA構想だ。
 過去の他県の合併構想は経営的に厳しいからというのが主な理由だったが、島根県の場合は県内11JAが概ね健全経営をしている中での合併構想なので、全国的にも注目されている。今はよくても10年20年先には人口減少と高齢化が進み、放っておいたらいずれ困る時が来るのだから、足元が明るいうちになんとかしなければいけない、ということだ。
 合併に際しては、支店の数などで組合員サービスの低下が危ぶまれているが、逆に合併をきっかけにしてサービスが向上するよう、具体的な仕組みづくりが必要だ。しっかりした根拠を示して、「合併することで地域は今までよりもよくなるぞ」という青写真をどう描けるかだろう。
 下手すると「農協の維持のための1JAなのではないか」と言われてしまう。どこまでも「組合員のための合併だ」ということが理解されて初めてできることだから、例えばこれまでなかなか地域に還元できなかった信用事業の利益を営農事業に仕向けたり組織拡充に使ったりするなど、合併して事業を1本化するメリットを明示して、全地域に喜ばれ期待され受け入れられるような1JAをつくる努力をすることが、課せられた任務だと思う。
 その中では、現在県本部制になっている全共連や全農も1JA構想の中に取り込む考えもある。全国でも例がないことなので、農協にとって最も有利なのはどういう形かを考えて、模範的な構想をつくりたい。


◆情熱・信頼・奉仕

 よく言うのは「夢はでっかく、望みは高く、暮らしは少し控えめに」ということ。
 とかく農協は厳しい、と萎縮する話しばかりしているが、「少しサービスが落ちるかもしれないが、農業と組合員を守るためには仕方ない。このままではもっと悪くなってしまう」ということを理解してもらって初めて改革ができる。
 ポリシーは「情熱・信頼・奉仕」。情熱を持って仕事をすれば信頼され、利益につながる。そうしたら必ず奉仕をしてお返しする。常にこの気持ちを持ち続けていきたい。


【Profile】ばんだい・のぶお
 昭和17年生まれ。33年就農(水稲、養豚)、47年島根県農協青年連盟委員長、48年中四国農協青年連盟委員長、全青協理事、63年出雲市農協理事、平成15年JAいずも代表理事組合長、16年JA島根中央会・全農島根県本部運営委員会・全共連同副会長。

(2010.08.19)