カドミウム(Cd)は動植物にとって毒性の強い重金属で、イタイイタイ病などの原因として知られている。カドミウムを多く含む食品を食べることで、人体に蓄積し健康被害を起こす。国際的にコメに含まれるカドミウムの安全基準は0.04ppmとされている。
馬教授の研究チームは、世界各地の140種類以上のイネを調査し、カドミウムの集積に関わるタンパク質OsHMA3遺伝子を同定した。
この遺伝子はカドミウムを液胞に隔離する機能がある。これを人為的に増やしたイネは、カドミウム汚染土壌で栽培してもコメのカドミウム濃度が大幅に低下する一方、鉄や亜鉛などその他の有用元素濃度には影響がなかった。
同チームは、「今後、この遺伝子を制御することで、安全安心な低カドミウム米の生産に寄与できる」としている。
この研究は、農水省の「新農業展開ゲノムプロジェクト」の助成をうけている。研究成果は「アメリカ化学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された。