新たな飢餓人口の推定値は毎年10月にFAOとWFPが共同で発表する「世界の食料不安の現状」に記載される。
2010年の飢餓人口の減少は、開発途上国の経済成長と08年以降に食料価格が落ち着いたことが要因としている。しかし、最近は食料価格が高騰。ディウフ事務局長は食料価格の上昇がこのまま続けば飢餓人口を減らす努力は一層妨げられる、と指摘している。
また、経済成長と食料が低価格という要因があっても、9億人もの飢餓人口が存在することについてFAOは「飢えが構造的な問題であることを示した。経済成長は不可欠だが、それだけでは飢餓を撲滅するには十分ではない」としている。
報告では、世界の栄養不足人口の3分の2はバングラデシュ、中国、コンゴ、エチオピア、インド、インドネシア、パキスタンの7か国に集中しているという。また、もっとも栄養不足人口が多いのはアジア・太平洋地域で5億7800万人。割合ではアフリカのサブ・サハラ地域が最も多く人口の30%に達し、2億3900万人としている。
1996年の世界食料サミットでは2015年までに当時の飢餓人口8億人を半分の4億人とする目標を掲げた。この目標達成には今後5年間で5億人以上の削減が必要となる。