農政・農協ニュース

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鹿野大臣がJAグループ代表と会談

 鹿野道彦農相は9月30日、JA全中の茂木守会長らJA全国8連の代表と会談した。昨年9月の政権交代以来、農相をはじめ政務3役とJAグループトップが会談したのは初めて。
農相に対して茂木会長が生産現場の声を大切に、と求めたのに対して「まったくその通り」と同意、今後も意見交換を継続する意向を示した。ただ、今後の農政には「新しい方向」を見出すことも大事だと強調、JAグループトップに対してもリーダーシップの発揮を求めた。

鹿野大臣がJAグループ代表と会談 茂木会長は鹿野農相が米、果樹、畜産の大産地である山形県の出身であることや農相も経験していることから「農政通として現場では大いに信頼」と活躍を期待した。
 そのうえで昨年9月の政権交代以降に政務3役と会談できなかったことについて「私どもと大変ぎくしゃくした関係が続き、生産現場の声が政治に届きにくくなったと声があがっていたのが実状」と指摘、「今日胸襟を開いてお話ができることは大変ありがたい」として(1)農業所得の増大を最大の課題とした農林水産予算の確保、(2)EPA(経済連携協定)交渉の基本方針、(3)米の価格・需給問題と戸別所得保障制度の3点について意見を述べた。
 農林水産予算では、生産者の所得増大を最大の課題とし、担い手の育成や農地の確保、食料自給率50%の達成に向け「省庁の枠を超えて十分な予算の確保」と訴えた。
 EPA交渉では、鹿野大臣の就任会見でEPAとの関連で新たな財源の確保が必要とも受け取れる発言について「大変心配している」と指摘し、EPA交渉の取り組みはWTO交渉との整合性、食料安全保障や自給率向上の視点など、「わが国にとっての将来展望を総合的に勘案することが大変重要」との意見を述べた。
 また、米価問題は「現下の最大の懸案」として「ぜひ早急な対策の実施についてリーダシップの発揮を」と述べるとともに、来年度からの戸別所得補償制度の実施に向けては「生産現場の懸念や要望をふまえたかたちでの改善や見直しを」と求めた。


◆「お互い腹を括ることも」鹿野農相

 これに対して鹿野農相は21年ぶりに農相に就任したことに触れ「21年というと、まったく状況が違っており新しい方向性を見出していかないとなかなか容易ならざる事態に陥っていくのではないかとこんな思いをしている」と述べた。
 また、「現場の声を大切にしてほしいとは、まったくその通り」で
今後も関係の方々と忌憚のない話をしていきたい」と話したうえで「しかし、申し上げますが、今までの単なるかたちだけのものでは、この困難な時期を乗り越えることができない。 お互いが腹を括るところは腹を括ってやる、このくらいの気概を持って私もやりたいと思っている。その点は会長を中心としたリーダーシップに対しても期待をさせていただきたい」と強調する場面もあった。
 会談終了後、茂木会長は記者団に対して「これからも現場の声を聞いてくれるということですから、対話を十分していきたい」と語った。
 会談には筒井信隆、篠原孝両副大臣も同席した。茂木会長ほかのJA全国8連の出席者は以下のとおり。JA全農:木村春雄経営管理委員会副会長、JA共済連:安田舜一郎経営管理委員会会長、農林中央金庫:河野良雄代表理事理事長、JA全国厚生連:萬歳章経営管理委員会副会長、(社)家の光協会:園田俊弘副会長、(株)日本農業新聞:村上進通代表取締役会長、(社)全国農協観光協会:坂根國之会長理事、JA全中:冨士重夫専務理事。

(2010.10.01)