これは、現在の石造2連アーチ橋の「日本橋」が来年架橋100周年を迎えるにあたり、長年にわたって付着した汚れを洗浄して創設当時の風合いを取り戻し、元気な「日本橋」を甦らせることを目的としたものだ。
洗浄作業は、ケルヒャー社のCSR活動として、世界各国の歴史的建造物・彫像を洗浄・再生してきた洗浄スペシャリストのトルステン・モーヴェス氏と実績のある修復家2名が来日、日本法人スタッフを加えたプロジェクトチームを組み、作業を行う。
2007年3月に「日本橋」洗浄の事前テストを行っているが、それを踏まえ最適な洗浄方法を決めた。その方法は、温水高圧洗浄とパウダー洗浄(無害の炭酸カルシウムなどを噴射)を併用するもので、洗浄剤や化学薬品などは一切使用しないで100年の汚れを落とすというものだ。
11月1日に安全祈願祭を行い、洗浄作業をスタートさせる。始めに下流側に設置した足場から日本橋側面と高欄の洗浄を約3週間掛け実施、その後上流側を同様に洗浄する。洗浄作業は12月中旬に完了して、新生「日本橋」は2010年度内にお披露目される予定だ。
10月7日に日本橋三越本店「不二の間」で開いた『日本橋クリーニングプロジェクト』記者発表会で、ケルヒャージャパン(株)の佐藤八郎社長は「ケルヒャー社は自由の女神や広島の平和記念公園など、世界の著名な建造物・文化財の洗浄を手掛けてきた。ケルヒャー社は創立75周年となるが、「日本橋」は架橋100周年を迎える。独自の技術で洗浄・再生に貢献したい」と語った。
名橋「日本橋」保存会の中村胤夫会長は「毎年7月の最終日曜日に、約1500人の住民が参加し道路を閉鎖して清掃作業を行ってきた。しかし橋側面の清掃は不可能だった。ケルヒャー社の協力で、「日本橋」をきれいにして保存していけることは嬉しい」と感謝した。またトルステン モーヴェス氏は「石には100年の汚れが付着しており、高圧洗浄だけでは汚れを落とせない。もともとの素材を傷つけないことに留意して作業を行う」と述べた。
(写真)
上:左から中村会長、佐藤社長、トルステン モーヴェス氏
中:ケルヒャー社の洗浄機器を手に
下:洗浄前(左)と洗浄後(右)