会合にはアジア太平洋地域の21の国と地域(エコノミー)の農業大臣など関係閣僚級と国際機関などが参加した。議長は鹿野道彦農相が務めた。
新潟宣言では、「共通目標1」として「持続可能な農業の発展」を掲げ、人口と所得の増加にともなう食料需給の不均衡に対応するため、APEC域内で農村開発をともなった農業生産の増大の必要性に合意したことを明記した。
そのうえで生産性向上のための研究開発、社会資本の整備推進のほか、▽農業災害対策や復興能力の向上に向けた協力、▽農村地域の振興、▽気候変動と天然資源管理への対応などを盛り込んだ。農村地域振興には、▽地元食材の消費推進による多様な食生活、▽女性や貧困農家の能力向上に資する投資拡大などの必要性も掲げている。
「共通目標2」は「投資、貿易、市場機能の円滑化」。農業投資の強化を確認する一方で、開発途上国で土地をはじめとした天然資源への商業圧力が高まっているとして、地域社会も利益が得られるような責任ある農業投資の原則の必要性と、投資ルールを策定する国際機関の取り組みを支持することを表明した。
農産物貿易では、WTOドーハラウンドの妥結に向けた努力継続に合意したものの、国内生産・貿易・備蓄の適切な組み合わせの必要性に留意することも盛り込まれた。
また、08年にAPEC首脳声明で、新たな投資・貿易障壁の設置や、輸出制限の導入等を今後1年間控えることに合意したが、これを2011年まで延長することを確認した。
これらの共通目標を実現するため各国・地域から提案された62項目からなる「行動計画」も採択された。日本の提案には、農業技術開発・移転の環境改善のための会議や、水資源利用と農民参加型の水管理に関するシンポジウム開催、農業災害に対する支援手法の共有化などがある。