茂木会長は、今月17日にAPEC食料安全保障担当大臣会合で議長を務めた鹿野農相に対して「食料安保の重要性を確認した新潟宣言をまとめていただき、われわれも大変心強く思っている」と述べたうえで、19日午前の全国代表者集会で採択した米問題とEPA問題についての決議について説明した。
茂木会長は、(1)政府が今後定めようとしているEPAの基本方針について「内容、方向性について生産者は大変心配している。とくにTTP(環太平洋パートナーシップ協定)については食料自給率の向上や食料安全保障とは両立できないことから、本日の全国集会でTTPへの参加は断じて認めることはできないという特別決議をした。TTPに関しては大臣とわれわれは同じ思いだと信じている。ぜひその方向で尽力を」と述べたほか、(2)米問題と戸別所得補償制度については、「全国すべての産地がかつてない米価の下落に苦しみ、先行きがまったく見えないなか、国の需給調整に参加した農家ほど大きな不安と将来の展望が描けない状況にある」。
また、「米のモデル事業で農家は所得の底上げが図られると期待をしていたが、残念ながらそのような実感は今のところない。来年から本格実施される戸別所得補償制度の成功のためにも、現下の需給環境を改善いただくよう強く要請する」などと述べた。
会談なかではいずれの要請についても鹿野農相から具体的な言及はなかったという。
会談後、記者団に対して茂木会長は現在の米価水準や要請の趣旨について「集会では野党議員からも指摘があったが、今、米は水よりも安い。消費者にも再生産価格を理解していただかないと日本の米はなくなると思う。
JAグループは日本の農業を守ること、消費者に安全で安心な食料を提供をしていくこと(が第一の目的)。与野党を超えて(対策の必要性などを)主張していく」など話した。