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前原外相発言「国益、著しく損なう」 茂木全中会長が緊急抗議

 前原誠司外相が10月19日の講演でTPP(環太平洋連携協定)の参加検討をめぐり、「日本のGDPのうち、農業など第1次産業は1.5%。1.5%を守るために98.5%が犠牲になっているのでは」と発言したと報じられていることについてJA全中の茂木会長は21日、抗議コメントを発表した。

◆信じられない発言

 茂木会長は「この発言は第1次産業の重要性を軽視したもの。自給率向上、安全・安心な食料の安定供給という国民の期待を損なう信じられない発言」と指摘。 第1次産業は単なる数字で判断できるものではないことは鹿野農相も指摘しているとして、人が暮らし、営農している農村の多面的機能や、地域経済・雇用の面など「農林水産業の果たす重要な役割を正しく認識してもらいたい」、「『この国のかたち』を主張すべき外交責任者である外務大臣の発言は、国益を著しく損なうものであり、抗議する」とコメントした。
 
◆農水省も抗議を検討

 前原外相の発言は20日の民主党農林産部門会議でも問題になった。
 佐々木隆博座長は「こういう視点でこの問題を論議してはいけないということだ。関連する集落、人がいる。(農業の壊滅は)同時に多面的機能も失われていくということ。産業の分野だけ捉えてこの問題を論議すること自体、解決にならない」と話し「農水省として前原外相発言は修正、撤回させなければならないとの意見が出たのは当然」と述べた。
 筒井信隆副大臣も「ほんの一部だから捨ててもいいんだ、という趣旨につながる考えだ」と述べ、部門会議の意見を受けて、政務3役として何らかの抗議を行うことを検討する意向を示した。

(2010.10.21)