同省の農林水産政策研究所は、各地域で相次いで設立されている集落営農組織の経営状況などを継続的に把握し、地域農業への影響を検証するため、平成19年度から研究プロジェクトを実施。今回その3年間の研究成果をとりまとめた。
概要によると、新たに設立された集落営農組織であっても、組織運営の目的が定まったところでは組織的取り組みが進んでおり、地域に効果を与えている組織も多く見られる。 しかし運営の目的が定まっていない組織の中には、組織活動が停滞し、地域への効果も見られず、組織再編を視野に入れる必要がある組織も出てきているとのことだ。
また活動の中で運営目的や営農を担う者に変化が見られる組織も出てきている。
集落営農組織を6つのタイプに類型化し、その動きを把握すると、全体的にはオペレーターが営農の主体となり、組織運営の目的を「生産性向上などによる所得の増加」、もしくは「農地の維持・保全」とする組織のいずれかに収束していく流れが観測されている。
その中で、これまで集落営農組織の最終型の1つと見られてきた北陸などに多い全戸共同型の組織の中に、高齢化や後継者不足からオペレータが営農の主体となる組織に移行するところが出てきている点が注目される。
21年度はそれまでに引き続き、近年設立された集落営農組織を中心にした76組織に対して、組織的な取り組みの進展状況や、組織立ち上げによる地域への影響に重点を置いた分析を実施した。
《注》全戸共同型の集落営農組織=参加する全農家が共同で基幹的農作業を行う組織。