卸売市場は、生鮮食料品などの流通の基幹的なインフラとして重要な役割を果たしているが、少子高齢化や食料消費・小売形態の変化、消費者ニーズの多様化など社会的な情勢変化から、卸売市場経由率の低下や取扱数量が減少するなどから、卸売業者・仲卸業者の経営は非常に厳しくなってきている。
そうしたなかで、今回の第9次基本方針では「卸売市場の位置づけや役割、機能強化の方向、市場施設の整備や運営のあり方等卸売市場の将来方向を検討し、実行に移す体制の構築が必要になっている」とし、今後の卸売市場については、
a)コールドチェーンシステムの確立をはじめとした生産者及び実需者のニーズへの的確な対応、b)公正かつ効率的な取引の確保、c)食の安全や環境問題等の社会的要請への適切な対応、d)卸売市場間の機能・役割分担の明確化による効率的な流通の確保、e)卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化、f)経営戦略的な視点を持った市場運営の確保、を基本とし整備・運営を行うとしている。
具体的には、大規模な卸売市場と中小規模の卸売市場との間での機能・役割分担を明確化し、大規模な中央卸売市場を「拠点市場」と位置づけ、周辺の中小中央卸売市場と連携した「効率的な流通ネットワークを構築」していく。その基準は図表のようになっている。
また、地方卸売市場についても、必要に応じて地域における生鮮食料品等流通の核となる「地域拠点市場」を、「他の地方卸売市場との統合」または「他の卸売市場との連携した集荷・販売活動」の措置を講じて定めることにしているが、その基準は、青果物を主たる取扱品目とする場合には、1万5000トン以上などと取扱数量で示されている。
このほか、取引きのあり方について、「相対取引が増加している中で、卸売市場における価格形成の透明性を向上し、公正な取引を推進する」ために「市場関係者間において十分な議論を行い」「開設者や卸売業者は、日ごと、月ごとの時系列で整理した情報等、仲卸業者や専門小売業者の利便性や透明性に配慮した取引情報の提供に努めること」。
「大規模小売業者等の優越的な地位の濫用により、卸売市場における価格形成において需給以外の要素で価格が形成されることのないよう」取引条件の明確化などに積極的に取り組むとともに「優越的な地位の濫用が疑われる行為があった場合に行政の相談窓口の積極的な活用を図ることにより、卸売市場における適正な取引環境の形成に努める」としているのも注目される。