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JA直売所向け保険が話題に  共栄火災

 共栄火災(杉山健二社長)は、JA直売所向け専用保険として、直売所へ出荷する農家組合員の賠償リスクを補償する「直売所出荷者賠償責任保険」と、JA直営の直売所の店舗休業リスクを補償する「直売所店舗休業保険」を10月から発売し、話題となっている。

 農畜産物販売の新たな業態として、消費者に直接販売するJA直売所は全国の多くのJAで設置され、取扱高の規模も年々拡大されるだけではなく、加工所の設置や農村レストランの併設など、多角化も進められている。
 しかし、こうした事業の拡大、多角化はリスクが増大することも意味しているといえる。共栄火災では、JA直売所に潜在するリスクや補償ニーズを踏まえ、上記2つの保険商品を開発した。


◆全出荷者が対象に


 「直売所出荷者賠償責任保険」は、農家組合員(被保険者)が、JA直売所に出荷した農産物や加工品などの欠陥に起因する生産物賠償事故や、残留農薬基準を超過した場合の農産物の回収費用を補償する内容となっている。さらに、直売所施設内で出荷作業や販売業務を行っている間に農産物を運搬するカートなどが来場していた消費者にぶつかりケガをさせ治療費を請求されるなどの賠償事故への補償を追加することもできる。
 この保険は、JAまたは直売所部会を契約者として、JA直売所に出荷登録して農産物を出荷する農家組合員全員を被保険者とする「包括契約方式」を採用しているので、組合員が個別に保険契約する手間が省略され、加入漏れが防止できるのも大きな特徴だ。

 「直売所店舗休業保険」はJA直営の直売所が火災、落雷、破裂、爆発、風災、水災、ひょう災、雪災などの事故で店舗が損害を受けた結果、発生した休業損失を補償する保険で、上記の補償に加えて「食中毒」「特定感染症」によって発生した休業損害も補償される。
 そのほか休業にともなう「お詫び広告」や「営業再開広告」などの費用として利用できる「臨時費用保険金」(休業損失に対する支払保険金とは別に)が支払われる。
 共栄火災は、JA共済連の子会社であり、JAグループの一員として、JA共済連やJA全中、JA総研などの協力をえてこの保険を開発した。今後、増大するであろう直売所におけるリスクに備えることで、直売所に対する信頼をさらに高めていくことは大事だといえる。

(2010.11.02)