シンポジウムは、戸別所得補償制度やFTA・EPA、食料自給率の視点から米政策への課題を考えたほか、緊急に「TPP」問題も議論した。
早稲田大学教授で同会議会長である堀口健治氏が「激変する米情勢 日本が進むべき道とは」をテーマに基調講演したほか、農水省食糧部の荒川隆部長が最近の米政策をめぐる状況について報告した。
また認定NPO法人ふるさと回帰支援センター専務理事で同会議の副会長である高橋公氏を司会にパネルディスカッションを行った。パネラーは大地を守る会会長・藤田和芳氏、JA全中専務理事・冨士重夫氏、堀口健治氏、荒川隆氏。
パネルディスカッション後、EPA基本方針策定にあたっての緊急決議(文中下)を採択した。
(写真上)
左から高橋公氏・荒川隆氏・堀口健治氏・冨士重夫氏・藤田和芳氏
政府のEPA基本方針策定にあたっての緊急決議(内容省略)
食料自給率が低迷し、食料の60%を海外に頼っているわが国は、安全、安心な食料の安定供給が脅かされ、国民に不安を与えている。
しかし、政府は11月のAPEC首脳会議までに、EPA基本方針を策定し、そのなかでTPP(環太平洋連携協定)交渉への参加を検討している。わが国が完全な自由化を目指すTPP交渉に参加すれば、農林水産業の崩壊を招き、国民の圧倒的多数が望む自給率の向上も到底不可能となる。さらには、関連産業を含む地域の雇用も失われ、地域社会そのものが大打撃を被ることは必至である。
食料は、我々の生活や生命維持に不可欠なものであり、工業品など他の財とは全く異なるものである。
こうした国のあり方にかかわる重要な課題を包含しているにもかかわらず、国民の総意を得る議論もせず、TPPへの拙速な参加が検討されようとしている。これは、国民が期待する食料自給率の向上に向けた我々の努力を無に帰す行為である。
したがって、我々は、国の基である農と地域社会を活性化させ、将来に向けて安全、安心な食料を安定的に供給していくため、TPP交渉への参加には反対であり、断じて認めることはできない。