異業種からの新規参入を目指す企業などを支援する平成22年度上半期の融資件数は39件(金額11億9000万円)となり、前年同期の1.9倍と大幅に増えた。
前年度は通期で58件、30億円だったが、今年度は件数ベースでそれを上回る推移となっている。
その背景としては(1)農地法改正(昨年末に施行)で企業が農地を利用しやすくなった(2)自社で生産に取り組む食品関連企業が増えているーなどがある。
上半期融資のうちハウスや農地の取得などの設備資金は約8割、長期運転資金は約2割で、1件当たりの平均融資額はおよそ3000万円となっている。
長期融資が中心であるのは、農業での経験不足などから経営が不安定になりやすいこと、また農業の特性から、投資回収までに長期間を要することなどに対応したからである。
参入企業の農業形態は野菜(施設、露地)が7件で最も多く、地域別には東北地方が9件でトップ、次いで北海道の8件。
◆多様な業種が新規参入
これまでの融資は▽建設業者が耕作放棄地を活用し飼料米などを生産する▽外食チェーンが農業者と連携し、農業生産法人を設立して野菜を生産する▽国産ワインメーカーが子会社を設立しブドウを生産するーというケースなどがあった。
今年度上半期では、これらに加えて自動車部品製造業、石材輸入販売業、縫製加工業など多様な業種からの参入が増えてきていることも大きな特徴だ。
公庫は融資のほか、農業経営アドバイザーによるコンサルティング、農業参入をテーマにしたセミナー開催などを通じて参入を引き続き支援していく。