茂木会長らはTPP参加に断固反対を表明するとともに、「これは決して農業者のエゴではなく国民的な課題。菅内閣には食料自給率50%達成を“有言実行”していただきたい」と強調するとともに、農業支援策の拡充によって農業再生を両立できるとする政府の考えにも、関税ゼロでは「両立はできない」と訴えた。
吉田専務も水産物の関税は4%と十分に低く、「これ以上の自由化は漁村と地域の崩壊につながる。漁労技術も失う。一時的なお金で解決できる問題ではない」などと訴えた。
服部教授は米国がTPPなど自由貿易協定に積極的なのは「WTO交渉では国内支持の削減が求められるが、それが問われず関税撤廃だけですむから」と米国の意図を解説した。
JA全青協も「TPP交渉参加反対」の要請書をまとめ、11月4日に大西雅彦会長らが篠原農水副大臣に手渡した。大西会長は「国家としての戦略を、産業の枠を超えて食と農のあり方を国民的に検討することが必要だ」と訴えた。
JA全中や大地を守る会、パルシステム生協連、生活クラブ事業連合など5団体によって今年4月に設立した「『農』を礎に日本を創る国民会議」も5日に緊急の反対決議を採択した。
そのほか福井県農政連とJA花咲ふくい、JA春江は坂井市長と同市議会議長に「食料安保と両立できないTPP交渉参加は反対」とする要請を行ったほか、11月5日の新世紀JA研究会の第9回セミナーでも大会アピールのなかで「農業はもとより国家の存亡にかかわるTPPがもつ問題点を明らかにしわが国の将来方向を誤らないよう政府に強く要請する」ことを盛り込んだ。全国町村会(会長:藤原忠彦・長野県川上村長)も4日にTPP参加への強い懸念を緊急決議した。自民党はTPP参加の即時撤回を求める会を結成し断固反対を決議した。
(写真)共同記者会見のもよう。写真左から冨士専務、茂木会長、吉田専務、服部名誉教授
政府のEPA基本方針策定にあたっての特別決議
わが国は瑞穂の国である。国土の隅々にまで美しい農山漁村が展開し、領土が保全されている。農山漁村に住む人々が、伝統文化を守りながら、安全・安心な食料を供給している。これがこの国のかたちである。
TPPは、関税撤廃の例外措置を認めない完全な貿易自由化を目指した交渉である。
我々は、工業製品の輸出拡大や資源の安定確保を否定するものではない。しかし、この国が貿易立国として発展してきた結果、わが国は世界で最も開かれた農産物純輸入国となり、食料自給率は著しく低下した。
例外を認めないTPPを締結すれば、日本農業は壊滅する。農家所得が補償されても、輸入は増大し、国内生産は崩壊していく。関連産業は廃業し、地方の雇用が失われる。これでは、国民の圧倒的多数が望む食料自給率の向上は到底不可能である。
EPAは、交渉参加国の相互発展と繁栄を本来の目的とすべきである。わが国がTPP交渉に参加しても、この目的は達成できない。したがって、我々は、わが国の食料安全保障と両立できないTPP交渉への参加に反対であり、断じて認めることはできない。
平成22年10月19日「米の需給・価格安定と万全な所得補償を求める全国代表者集会」