市民講座は今年で4回目。今年は、BSEやプリオン病についての研究発表だけでなく、社会的に注目度の高い家畜の伝染病として鳥インフルエンザと口蹄疫についても、その基礎と防疫体制、現在の課題などの発表があり、多くの市民が参加した。
参加者との質疑応答では、家畜の伝染病では「殺処分が前提だと農家が大変だ。予防薬はできないのか」との質問があった。講師陣は口蹄疫、動物インフルエンザともに「変異が激しい、コストが高いなどの理由で開発が難しい。また、中途半端な予防で免疫力が高まってしまうと、キャリア(保菌者)になり人への感染リスクも高まる」とその困難さを述べた。実際に、鳥インフルエンザの予防ワクチンを投与している中国、ベトナム、インドネシア、エジプトなどでは、インフルエンザによる死者が多いという。
BSEについては、食品安全の面から全頭検査の推進と徹底を求める意見や、米国の求める輸入牛の月齢基準緩和のリスクについての質問などがあった。
司会を務めた東京医科歯科大学の水澤英洋教授は「日本人は事件が起こると熱しやすく冷めやすいが、大事なのは冷静な対応と地道な研究だ。これからも研究を続けるとともに、市民の不安を解消するための講座を開いていきたい」と述べた。
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研究者や行政など7人の講師が発表。参加者との意見交換も行った。