農政・農協ニュース

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イネの収量増、米粉100%パンづくりなど 2010年の10大研究トピックス選定

 農水省は12月16日、2010年の農林水産研究成果10大トピックスを発表した。

 10大トピックスは内容に優れ社会的関心の高かった成果を選定するもの。農業関連の専門紙などでつくる農業技術クラブの協力で決めている。
 WFP遺伝子は、名古屋大学の芦刈基行教授らの研究グループが発見した、イネの収量を劇的に増やす遺伝子だ。多収イネの開発だけでなく、ムギ、トウモロコシなど多収品種育成にもつながると見られている。名前の由来は、世界の農家の人々が幸せになるように(Wealthy Farmer's Panicle)という願いを込めた。
 グルテンを使わない米粉100%のパン製造技術は、農研機構食品総合研究所の開発。従来の米粉パンづくりに欠かせなかったグルテンや食塩を使わず、「グルタチオン」というトリペプチド(3つのアミノ酸からなる化合物)を使う。コメの消費拡大と自給率向上につながるほか、小麦アレルギー対策、減塩食品の開発などにも転用が期待される。
 そのほか、日本のコメの起源を明らかにした「コシヒカリ」の全ゲノム塩基配列の解読や、電磁波殺菌とナノミストをつかった青果物の高鮮度輸送技術の開発などが選ばれた。
 各成果の詳細は、農水省ホームページで公開している。

選定された研究成果などは次の通り。
世界初のウナギ完全養殖(水産総合研究センター)
イネ収量増加遺伝子(WFP遺伝子)発見(名古屋大学)
米粉100%(グルテン不使用)パンの新しい製造技術(農研機構食品総合研究所)
水稲種子にモリブデン化合物をまぶすことで直播での苗立ちを改善(農研機構九州沖縄農業研究センター)
コシヒカリの全ゲノム塩基配列解読(農業生物資源研究所)
由来の確かな牛卵子の超低温保存技術による子牛の生産(佐賀県畜産試験場)
ダイズのゲノム解析(理化学研究所など日米の国際研究チーム)
青果物の高鮮度輸送技術の開発(九州大学など)
カドミウム汚染水田の浄化(農業環境技術研究所、長野県農業試験場など)
砂糖・エタノール複合生産プロセス開発(アサヒビール、農研機構九州沖縄農業研究センター)

(2010.12.17)