茂木会長はあいさつで以下の4点を重点課題として挙げ「JAグループ役職員が一丸となって取り組んでいかなければならない」と訴えた。
(1)TPP対策。
上半期の最重要課題だ。政府は国民的な議論もないままに関係国との協議開始を打ち出したが、この問題は将来のわが国のかたちを大きく変えてしまう可能性を秘めた極めて重大な問題。
JAグループにとってはわが国農業・農村を守る闘いであると同時にわれわれ自身の職場を守る闘いでもある。
われわれJAグループがなぜTPPに反対するのか、役職員一人ひとりが理論武装し国民に理解を求める活動をしてほしい。「農は国の基」である、とはかつてはいわずものがなの常識だった。しかし、世界第2位のGDPとなった今、心の豊かさややりがいといった、人が生きていくうえで本当に大切なことがすっぽりと抜け落ちているような気がしてならない。
過度な競争や市場原理の貫徹からは真の豊かさは生まれてこない。経済の発展により私たちの暮らしが格段に便利になったことは否定しないが、一方で毎年3万人もの自殺者を出している状況をどう説明するのか。農は国の基であることを今一度国民各層に対し愚直に訴えていこう。さらに大きな国民運動につなげていきたい。
(2)規制・制度改革の動向。
昨年秋からの規制・制度改革分科会の議論ではJAからの信用・共済事業の分離や准組合員の廃止などが議論されている。年度末に向け引き続き検討が行われるが、今後の政府の動向を注視するとともに、不当な攻撃には断固として反論するなどJAグループとして適切に対応していきたい。
(3)2012年国際協同組合年に向けて。
昨年は国内実行委員会が発足した。今年は準備の年。国内のさまざまな協同組合組織が団結し、協同組合の社会的経済的役割について世界に呼びかける取り組みを展開していきたい。
(4)JAグループ統一広報について。
相互扶助の精神に基づき高齢者福祉など地域の抱えるさまざまな課題に応えるJAの地域貢献活動は、残念ながら地域住民によく知られていないのが実態。もっと知っていただき協同の仲間になってもらうという、まさに新たな協同の取り組みを進めていかなければならない。
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そのほか永田正利JA全農経営管理委員会会長は「TPP、規制・制度改革など大きな問題を抱えた年明けとなった。今こそJAグループがひとつになって事業展開、運動展開をしていくことが大事なときを迎えた」とあいさつ。
農林中央金庫の河野良雄理事長は「厳しい年だが、事業は右往左往することなく本来の事業に邁進すべき」としてJA貯金の実績向上などの課題を挙げた。 JA共済連の横井義則理事長は今年10月に国際協同組合保険連合(ICMIF)の総会が東京で開催されることを紹介、「国際協同組合年の先駆けとして協同組合の役割を発信していきたい」などと話した。また、山田俊男参議院議員もあいさつ。JAグループとして農業・農村再建に向けた独自の政策提案づくりを期待したほか、規制・制度改革での議論は政府内でもJA批判が厳しいと指摘、「組織代表は腹を括って方向づけを示し、それを役職員は徹底的に支えるべきでは」などと期待した。